本書は、インターネットの次に来る革命とされている「テクノロジー4.0」について、その背景や仕組みを解説したものである。テクノロジー4.0とは、FinTechや位置情報、IoTなどのテクノロジーと、そのつながりが生み出す革新を指す。本書は、こうしたテクノロジーには具体的にどんな利点があり、どんなビジネスが生まれているのかを説明している。ビジネスモデルや経済のあり方を根本的に変えつつあるテクノロジー4.0。こうした変化の中で、企業はどのようなビジネスモデルを構築すべきなのだろうか。
そもそも、テクノロジー4.0が生まれた背景には、経済を形成する四つの要素がある。第一に、リアル経済である。これは私たちが目にする実体のある経済のことだ。第二に、ボーダレス経済である。これは国境を越えてヒト、モノ、カネが行き交う経済のことである。第三に、インターネットによる見えない大陸である。これはサイバー上の経済空間を指す。たとえば、アマゾンは見えない大陸の覇者と言えるだろう。第四に、マルチプルである。これは、企業の株価が今年の収益の何倍なのかを示し、マーケットでの企業の価値を表す指標のことだ。将来が有望な企業ほどマルチプルは高くなり、マルチプルが高いと、小さな会社でも大きな会社を買収することができる。
このように、企業の成長速度を加速させる方法が増えてきている。
今後必要とされるのは、それぞれのテクノロジーのつながりを俯瞰することだと著者はいう。位置情報とIoTを組み合わせたり、IoTをベースとしたサービスでFinTechによる決済を使ったりすることで、新しいビジネスモデルが生まれている。
その端的な例は、スマホアプリを用いた配車サービスのUberである。Uberは2009年設立後、五年足らずでいきなり時価総額7兆円の巨大企業になった。急成長の背景には、配車を可能とする位置情報、データを解析して配車を効率化するビッグデータ、代金のやり取りにかかわるFinTechなど、技術革新の組み合わせがある。
このように、一つのテクノロジーを理解するだけではなく、いくつかのテクノロジーがどのようにつながってサービスやビジネスを形成しているかを知ることが重要だ。
すべてのテクノロジーはスマートフォンに集約されていく。これをスマートフォン・セントリック(Smartphone Centric)という。スマホを通じてテレビの視聴や写真・動画撮影、スケジュール管理、リアル店舗での支払い、残高照会、株や外貨の取引など、ありとあらゆることができる。
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