9プリンシプルズ

加速する未来で勝ち残るために
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おすすめポイント

どの時代にも、その時代特有の色がある。とはいえ、自分が生きている時代の仕組みを見抜くのは簡単なことではない。それが急速に変化しているのならば尚更だ。

だが本書は、この激動の時代において、9つのたしかな原則を提示している。それが可能なのは、著者が今もなお時代の最先端に立ち続け、広い視野をもって世界を捉えているからだろう。

著者のひとりである伊藤氏は、日本人で初めてMIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボ所長となった人物だ。2016年の「Thought Leaders(思想的リーダー)」のひとりにも選ばれた伊藤氏は、これからは細かいルールや戦略ではなく、文化、指針、世界観が成功のカギになると考えている。

なかでも注目すべきは、それがミッションステートメントやスローガンといったかたちではなく、神話体系のように伝えられるべき――使命と思わず神話と考えよう――と主張している点である。すぐれたリーダーといえば、すさまじいコントロール力や権力が想起されがちだが、それでは複雑で創造的な組織を率いることはできない。つまり、複雑で創造的なことを成し遂げることもできないというわけだ。

本書に登場する9つの原則は、あなたの世界観を耕すためのすぐれた指針であり、複雑で創造的な未来を創り上げるための礎でもある。新たな神話を紡ぎ出したいのであれば、本書に触れないわけにはいかない。

著者

伊藤穰一 (いとう じょういち)
ベンチャーキャピタリストとして世界的に知られ、現在MITメディアラボ所長、PureTech Health取締役会長のほか、ニューヨーク・タイムズ、ソニー、マッカーサー基金、Knight Foundation、デジタルガレージなどさまざまな組織の取締役を務める。日本ではNHK《スーパープレゼンテーション》のナビゲーターとしても著名。著書に『ネットで進化する人類』『「プレゼン」力』(山中伸弥氏と共著)など。本書は自己の哲学を網羅的にまとめた初の本格的著作。

ジェフ・ハウ (Jeff HOWE)
ワイアード誌コントリビューティング・エディター、Inside.comでのシニア・エディターや、ヴィレッジ・ヴォイスのライターなどを務め、現在はノースイースタン大学助教授、MITメディアラボ客員研究員。「クラウドソーシング」というタームの生みの親。著書に『クラウドソーシング』など。

本書の要点

  • 要点
    1
    絶え間なく変化する現代の特徴は、「非対称性」、「複雑性」、「不確実性」の3つである。
  • 要点
    2
    かつて、知識の生産プロセスは特定の「権威」が主導していた。しかし現在は、複数人が関わることで生まれる「創発」が、新しい生産システムとして台頭しつつある。
  • 要点
    3
    詳細な地図はもはや不要だ。これから求められるのは、行くべき方角だけを示すコンパスである。抽象的な思考は、有用なコンパスのひとつである。
  • 要点
    4
    低コストでイノベーションが起こせる世界では、安全よりもリスクをとるべきである。

要約

【必読ポイント!】 世界は急速に変化している

ネットワーク時代の到来

地球の歴史において、変化はじつに珍しいものだった。それは人類が登場してからもほとんど変わらなかった。

だが、大量生産が工業時代をもたらして以降、変化は加速する一方だ。特に、インターネットと集積回路チップが「ネットワーク時代」を生みだしたことで、その流れはますます顕著になった。

ネットワーク時代の特徴は、絶え間なく変化が生まれていることにある。そして、変化は私たちの用意ができているかなんて、気にもかけていない。

私たちの時代の3つの特徴
ALLVISIONN/iStock/Thinkstock

この時代を定義づける特徴が3つある。

1つ目は「非対称性」だ。かつては大きな力に対抗するためには、同じ規模と強さをもつ別の力で対抗しなければならなかった。だが、ここ20年ほどの間にすべてが変わった。インターネットと急速に改善するデジタル技術は、世界のパワーバランスを均等化しはじめている。もはや規模が大きければよいという世界ではない。むしろ現状への最大の脅威、新興企業やはぐれ者、離反者からやってきている。

2つ目は「複雑性」だ。複雑性自体はまったく目新しいものではないが、その研究が進んできたのはここ最近である。複雑性は(1)異質性、(2)ネットワーク、(3)相互依存性、(4)適応性の4つの要素から成り立っている。「これらを4つのつまみだと思ってください」というミシガン大学複雑系研究センター所長スコット・E・ペイジは、「近年では、これらのつまみのボリュームをすべて最大メモリを超えるほど回しきったんです」「そして、その帰結がどうなるかは、皆目見当がついていないんです」と語っている。

3つ目は「不確実性」である。これまで、人類の成功は正確に予測する能力と深く結びついていた。しかし今は、予想外の発展がほんの数日でゲームのルール自体を変えてしまいかねない。こうした時代においては、無知を認めることのほうが、より戦略的な優位性をもっているといえる。

メディアラボという解答
demaerre/iStock/Thinkstock

知らないという原理をもとに、どのようにして組織や自分自身を再構築していけばいいのだろうか。

このとき参考になるのは、軍事、生命科学、技術、ニュースメディアといった先駆者たちだ。彼らは複雑性と予測不可能性をがっちり組み込みはじめている。

メディアラボも、新しい時代に対応するDNAを持ち合わせている組織のひとつだ。ここは、新技術を作り出すアーティスト、教育システムを再発明しようとする遺伝学者やコンピュータ科学者にとって、ひとつの島のような場所だ。それは学際的というよりは「反分野的」であり、教授陣も生徒たちも、学問分野同士が協力しているというよりは、そうした分野のあいだの空間やそれを超えた場所を探求している。

メディアラボの中核的な原理は、教育よりも学習を重視するということだ。

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要約公開日 2017.07.22
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