海外投資家に日本の不動産を売る方法

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出版社
総合法令出版

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出版日
2016年12月05日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

未曾有の経済発展を遂げる中国。巨大市場として、その動向は常に注目され続けており、それは不動産の世界においても同様である。本書における「海外投資家」とは、すなわち「中国人投資家」のことだ。そういう意味で、本書は日本の不動産に投資する中国人投資家の現状分析と取引方法についてまとめた書籍だといってもいいだろう。

不動産に関係する仕事に就いている人や、不動産オーナー、投資家にとってはもちろんのこと、それ以外の人にとっても有用な情報が本書には数多く含まれている。中国人が日本の不動産に投資をしている状況を通じて、拡大する中国の富裕層・中産層の様子や、東京オリンピックを控えた東京がどのように海外から見られているのかが浮かび上がってくるからである。

戦後に高度経済成長を経験し、80年代の世界的な不況の中でも例外的に好況を維持した日本であったが、現在は将来を不安視する見方が支配的になっている。「課題先進国」とさえ呼ばれるようになった現在の日本において、同じ東アジアの近隣諸国である中国との関係を考えることは避けては通れない。同時に、日本の不動産がもつ価値を知ることは、世界における日本の位置をあらためて見直すいいきっかけになるはずだ。

ライター画像
池田明季哉

著者

金子 嘉徳 (かねこ よしのり)
株式会社フロンティアグループ 代表取締役
1974年生まれ。米国ミズーリ大学コロンビア校卒業。同大在学中に北京大学に交換留学。日経商社及び外資系企業勤務を経て、当時東証一部上場の金融グループ企業に転職し、在職中32歳の最年少で取締役に就任。また在職中、中央大学大学院国際会計研究科(MBAコース)を主席卒業。2008年株式会社フロンティアグループを設立し、代表取締役に就任。不動産事業を中心に、M&A、人材紹介など、多様なビジネスを手がけている。

株式会社フロンティアグループ
http://www.frogro.co.jp/

本書の要点

  • 要点
    1
    日本、特に東京の不動産が、中国を中心に海外投資家の間で人気を集めている。
  • 要点
    2
    中国では富裕層に加えて中間層が拡大しており、不動産投資への熱意が高まっている。
  • 要点
    3
    東京オリンピックが終わったあと、不動産価格が維持されるのかを不安に思う向きもある。しかし東京への人口集中は続くため、不動産価格が大幅に下落することは考えにくい。
  • 要点
    4
    インフラが充実し、治安もよい日本は不動産投資先として大きな魅力を備えている。特に東京は完成された都市として世界的にも評価が高い。

要約

【必読ポイント!】 東京圏の不動産が注目される理由

中国人投資家が日本の不動産に注目している
imtmphoto/iStock/Thinkstock

2020年の東京オリンピックを控え、日本の不動産が海外の投資家、とりわけ中国人から注目を集めている。中国がGDPで日本を追い抜き、アメリカに次ぐ世界第2位に躍り出たのは2010年のことだ。それ以来、中国はさらなる成長を続けている。秋葉原や銀座で、訪日中国人客が派手な買い物をする「爆買い」はやや沈静化してきているものの、中国人がお金を持っているのはまちがいない。

現在、いわゆる富裕層だけでなく、経済成長で大量に生み出された中間層と呼ばれる人たちが、お金を増やすための投資先を探している。もともと中国人は投資に積極的だ。中国国内だけで投資をおこなうことへのリスク感覚もあり、海外で資産を増やすことに大きな関心を持っている。このことは、日本国内に不動産を所有しているオーナーや投資家にとって、まさにビッグチャンスだといえる。

東京圏の不動産価格は値上がりする

海外投資家にとって魅力的な日本の不動産であるが、その中でも最も人気があるのは東京圏の不動産だ。

東京圏が注目されている背景には、2020年に開催される東京オリンピックがある。東京オリンピックによる経済波及効果は、日本銀行の試算によると2014年から2020年にかけて25兆円から30兆円にのぼるとされている。オリンピック関連の建設投資だけでも、競技場建設やインフラ整備なども含め、2020年までに10兆円が投じられることになっている。

この巨額投資の多くは、主な競技会場となる東京の湾岸エリアに注がれている。現在の湾岸エリアは、豊洲など一部地域を除き、住宅街というよりはまだまだ工場跡地といった印象が強い。しかし、今後は横浜みなとみらい地区のように、近代的な建物が立ち並ぶ近未来都市として、住みやすい街区が形成されることだろう。したがって、湾岸エリアの不動産価格は今後、値上がりすると予想される。

また、価格上昇の恩恵を受けるのは、湾岸エリアだけではない。都心5区をはじめとして、都心中央部の価格上昇も間違いない。

オリンピックの終わりが東京の終わりではない

もちろん、オリンピックに過度な期待を寄せることは禁物だ。少子高齢化や消費の成熟化が進んだ現在の日本では、大規模な国家イベントによる経済効果は、高度経済成長期だった50年前と比較すれば限定的かもしれない。

しかし、

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要約公開日 2017.07.17
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