2020年の東京オリンピックを控え、日本の不動産が海外の投資家、とりわけ中国人から注目を集めている。中国がGDPで日本を追い抜き、アメリカに次ぐ世界第2位に躍り出たのは2010年のことだ。それ以来、中国はさらなる成長を続けている。秋葉原や銀座で、訪日中国人客が派手な買い物をする「爆買い」はやや沈静化してきているものの、中国人がお金を持っているのはまちがいない。
現在、いわゆる富裕層だけでなく、経済成長で大量に生み出された中間層と呼ばれる人たちが、お金を増やすための投資先を探している。もともと中国人は投資に積極的だ。中国国内だけで投資をおこなうことへのリスク感覚もあり、海外で資産を増やすことに大きな関心を持っている。このことは、日本国内に不動産を所有しているオーナーや投資家にとって、まさにビッグチャンスだといえる。
海外投資家にとって魅力的な日本の不動産であるが、その中でも最も人気があるのは東京圏の不動産だ。
東京圏が注目されている背景には、2020年に開催される東京オリンピックがある。東京オリンピックによる経済波及効果は、日本銀行の試算によると2014年から2020年にかけて25兆円から30兆円にのぼるとされている。オリンピック関連の建設投資だけでも、競技場建設やインフラ整備なども含め、2020年までに10兆円が投じられることになっている。
この巨額投資の多くは、主な競技会場となる東京の湾岸エリアに注がれている。現在の湾岸エリアは、豊洲など一部地域を除き、住宅街というよりはまだまだ工場跡地といった印象が強い。しかし、今後は横浜みなとみらい地区のように、近代的な建物が立ち並ぶ近未来都市として、住みやすい街区が形成されることだろう。したがって、湾岸エリアの不動産価格は今後、値上がりすると予想される。
また、価格上昇の恩恵を受けるのは、湾岸エリアだけではない。都心5区をはじめとして、都心中央部の価格上昇も間違いない。
もちろん、オリンピックに過度な期待を寄せることは禁物だ。少子高齢化や消費の成熟化が進んだ現在の日本では、大規模な国家イベントによる経済効果は、高度経済成長期だった50年前と比較すれば限定的かもしれない。
しかし、
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