人がうごく

コンテンツのつくり方

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コンテンツのつくり方
出版社
クロスメディア・パブリッシング

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出版日
2018年08月11日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「この映画、絶対観たほうがいい」「このサービス、使わなきゃ損だよ!」こんなふうに、お客さんが自然と周囲にアピールしたくなる作品を世に生み出すことは、商品・サービスづくりに関わる人の悲願ではないだろうか。これを実現するには、ヒットコンテンツの共通点を理解することが欠かせない。その共通点、つまりヒットコンテンツの本質が、感覚的すぎず難しすぎず、心に染みこむように描き出されているのが本書だ。

著者は、「逃走中」「戦闘中」「世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?」などの大ヒットコンテンツを企画してきた気鋭のプロデューサー。本書によると、Webの記事も、日々飲んでいるミネラルウォーターも、いま着ている服も、すべて「コンテンツ」になる可能性を秘めているという。

では人がうごくコンテンツをつくり、広めるために、何を意識すればいいのか。少し事例を挙げただけでも、「コンテンツはベタが最強」「ニッチコンテンツとマスコンテンツの特性の違い」「インフルエンサーに頼りきらない」など、気になるトピックがズラリ。具体的なアクションにまで落とし込まれており、読者の目の前にある業務に取り入れられるのもありがたい。「コンテンツの大切なことは全部ここに書かれている」と、リアル脱出ゲームの生みの親、加藤隆生氏が激賞するのも大いに頷ける。

企画書を前にうんうん唸っているのなら、迷わず本書に目を通したほうがよい。視界がクリアになり、企画書を書く手が進むこと請け合いだ。「コンテンツ化」の珠玉のノウハウ集をご一読あれ。

ライター画像
松尾美里

著者

髙瀬 敦也(たかせ あつや)
コンテンツプロデューサー。株式会社ジェネレートワン代表取締役CEO。1998年フジテレビ入社、営業局にてスポットセールスプランニングに従事。その後、編成制作局にて「逃走中」「戦闘中」「Numer0n(ヌメロン)」など企画性の高い番組を多数企画。「逃走中」「戦闘中」ではニンテンドー3DSのゲームもプロデュースし、シリーズ累計100万本を超えるセールスを達成。「Numer0n」ではアプリ化を前提とした企画としてゲーム内容からデザインし、スマートフォンアプリは350万ダウンロードを記録。また、深夜アニメブランド「ノイタミナ」の立ち上げに関わり、「ノイタミナ」を命名、ほか多数のバラエティ番組・アニメ番組をプロデュース。
また、DJ活動も行い、主宰を務めた「O-range」「CSH4」などのイベントは当時一般的ではなかった“日曜午後のクラブパーティー”というコンセプトを広めることに貢献。自身もソロアルバム(CD)を全国リリース。
フジテレビを退社した現在、スマホ向け動画、ライブコマース事業の企画・プロデュースなど、IT分野でも精力的に活動。また、マンガ原作・脚本制作、アイドルグループ・アパレルブランドのプロデュースを手掛けるほか様々な業種の新事業企画、新商品企画、広告プロモーション戦略立案など、幅広いコンテンツプロデュース・コンサルティングを行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    コンテンツ化というのは、受け手に対し、イメージを「狭めて」あげることで、「自分のためにあるのだ」と気づきやすくさせることである。
  • 要点
    2
    コンテンツづくりで最初に決めるべきなのは「目的」である。この目的は、究極的には「世のため人のため」という「大義」に辿りつく。
  • 要点
    3
    コンテンツを広げたいのなら、まずは「誰かに刺さるもの」をつくる必要がある。その「誰か」がコンテンツの拡散に不可欠な熱狂状態を生み出してくれるからだ。

要約

コンテンツとは何か

世の中のもの、すべてが「コンテンツ」
Hyrma/gettyimages

コンテンツの定義はあいまいだ。一般的にはアニメや漫画、映画、音楽、ゆるキャラなど、モノや映像がブランド化され、それがビジネスにつながっているものが、コンテンツと認識されている。

しかし著者によると、「この世にあるものすべてがコンテンツである」という。世の中に存在するものはどれも、誰かの発明であったり、誰かの想いが詰まっていたりする。生活者に理解しやすい形で伝えることで、「コンテンツ化」できる可能性を秘めているというのだ。

コンテンツ化のポイントは、「どこから見るか、誰から見るか」である。たとえば、「南アルプスの天然水」というミネラルウォーター。長野県や山梨県の住民は、その価値に気づかないかもしれない。しかし、首都圏に住む人からすると、「南アルプスの大自然の中で育まれた水」というイメージがふくらみ、その価値が認識される。すると、今度は「南アルプスの天然水でつくられた水ようかん」や「南アルプスの天然水 源流を辿るトレッキングツアー」といった、多様な商品化の可能性を秘めた「コンテンツ」へと昇華していく。

「狭める」とコンテンツ化する

コンテンツ化に有効なのは「狭める」ことだ。これは生活者に対し、イメージを明確にすることと同義である。

たとえば、「お金のことがわかる番組」より、「75歳以上の年金生活を考える番組」のほうが、よりコンテンツになりやすい。なぜなら、生活者にとってそれが「自分に関わることなのかどうか」を直感的に判断できるからだ。こうした理由から、イメージが明確なタイトルや商品名は至るところにある。

コンテンツ化というのは、受け手に対し、イメージを「狭めて」あげることで、「あなたのためにあるのだ」と気づきやすくすること。同時に、「価値を感じたい」と思っている人に、「価値を感じてもらえるよう仕立てる」ことでもある。これはある種の「マッチング」といえよう。

「想い」がないと当たらない

当たり前のことながら、コンテンツはあくまで人がつくるもの。コンテンツには、コンテンツづくりに関わる人の生い立ちや生き様が、おのずと反映される。そうしてできたモノには「想い」が付加されている。「想い」のないコンテンツが人気を博すことはない。コンテンツづくりの成功をめざすには、たくさんの人の多様な意見のうち、不必要なものを排除しないといけない。これにはかなりの労力やリスクを伴う。そこで、実行し続けるための原動力になるのが、この「想い」なのである。

コンテンツをつくる

すべては「目的」が決める
den-belitsky/gettyimages

コンテンツづくりで最初に決めるべきことは「目的」である。コンテンツは完成後も、世相や環境、ニーズの移り変わりに応じて、変化を求められることもある。そんなとき、そのコンテンツをつくる目的がないと、何をどこまで変えていいのか判断できなくなってしまう。

真の目的を見つけるには、「なぜ?」をくり返すとよい。そのコンテンツがなぜ必要なのかを掘り下げていこう。

目的の大きさは、コンテンツがターゲットとする人数に比例する。対象が多ければ多いほど、大きな目的が問われる。すると究極的には、愛や平和といった、「世のため人のため」という「大義」に辿りつく。コンテンツのディテールを決めるのは、この大義である。

著者が企画した「世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?」という番組を例にとろう。この番組では、二人のディレクターがレポーターとなって、一か国を二週間ずつ取材し、意外な文化や知られざる生活を紹介していく。この企画の目的は「異文化を知ることの大切さを伝えること」である。たくさんの人の心に響くように、それを楽しく視覚的なエンターテインメントに変換して伝えていくことが著者の狙いだった。

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要約公開日 2018.10.18
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