心に折り合いをつけて うまいことやる習慣

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心に折り合いをつけて うまいことやる習慣
出版社
出版日
2018年06月26日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

忙しい日々を過ごすなかで、心身ともに疲れ切っている方も多いのではないだろうか。仕事にやりがいを見いだせなかったり、同僚や家族とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、誰かと自分を比べてしまったり……。どこかにあるはずの“幸せ”を追い求めてもがき苦しんではいないだろうか。

そんな方に手に取っていただきたいのが本書である。著者は精神科医の中村恒子先生と、中村先生と長らくお付き合いをされてきた、同じく精神科医の奥田弘美先生。中村先生のお話を奥田先生が聞き書きする形式でまとめられている。中村先生のチャーミングな方言を生かした文体で、働き方や人間関係、仕事と家庭の両立などのテーマについて、先生の考え方を共有してくれる一冊だ。

中村先生は広島に生まれ、16歳のときに大阪に出てきた。実家から自立を求められ、大阪で開業医をしている叔父さんが「医者になるなら学費を出そう」と言ってくれたことをきっかけに、医者の道を志したという。それから89歳の現在までずっと、精神科医として多くの患者さんを支えてきた。

本書では、中村先生の生き方が「日々たんたんな生き方」と表現されている。まさにその通り、中村先生の言葉はどこか飄々としている。だがその考え方にいきつくまでには、医者として、妻として、そして母としての多大なる苦労があったに違いない。悩んでいる方はぜひ本書の中から、あなたの状況にぴったりのアドバイスを探してみてほしい。きっと心が軽くなる一言が見つかるはずだ。

著者

中村 恒子(なかむら つねこ)
1929年生まれ。精神科医。
1945年6月、終戦の2か月前に医師になるために広島県尾道市から一人で大阪へ、混乱の時代に精神科医となる。二人の子どもの子育てを並行しながら勤務医として働き、2017年7月(88歳)まで週6日フルタイムで外来・病棟診療を続けている(8月から週4日のフルタイム勤務となる)。「いつお迎えが来ても悔いなし」の心境にて生涯現役医師を続けている。

奥田 弘美(おくだ ひろみ)
1967年生まれ。精神科医・産業医(労働衛生コンサルタント)。日本マインドフルネス普及協会代表理事。
内科医を経て、2000年に中村恒子先生と出会ったことをきっかけに精神科医に転科。現在は精神科診療のほか都内20か所の企業の産業医としてビジネスパーソンの心身のケアに従事。著書に『何をやっても痩せないのは脳の使い方をまちがえていたから』(扶桑社)、『1分間どこでもマインドフルネス』(日本能率協会マネジメントセンター)、『心の毒がスーッと消える本』(講談社)など多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    人は生活のために働いている。やりがいや自己成長は、自分を食べさせられるようになってからボチボチ考えよう。
  • 要点
    2
    他人を変えるのは難しい。それよりも、自分をもっと快適にする方法を考えたほうが効率的だ。合わない人とは薄く、気が合う人とは濃密に付き合おう。
  • 要点
    3
    どんなに恵まれているように見える人にも、その人なりの悩みや苦しみがある。だから自分と人とを比べて落ち込んだりうらやんだりしてムダなエネルギーを使う必要はない。

要約

なんのために、働きますか?

「やりがい」よりもまず「お金」
Doucefleur/gettyimages

著者は精神科医という仕事柄、「なんのために働くのか」と悩んでいる人に多く出会う。仕事にやりがいを感じない、誰にも褒められない、人間関係がうまくいかないなどといった悩みを抱えている人が多いようだ。

だが「そもそも人はなんのために働くのか」を考えてみてほしい。「やりたいことを実現するため」「夢をかなえるため」も正解だろう。しかしもっと根本的には、人は生活するために働いているのだ。自分自身を食べさせられてはじめて「一人前」だ。

だから「お金のために働く」というのは決して悪いことではない。それは当たり前で、立派なことである。もちろん直接お金になっていなくても、旦那さんや奥さんをサポートして家庭を守ること、子どもや家族のめんどうを見ることも、大事なお仕事だ。

著者自身、田舎の子だくさんな家庭で育ち、早く働き口を探す必要があった。そんなときに開業医の叔父が「医者になるなら学費のめんどうを見る」と言ってくれ、医者の道を目指すことにした。やりたいかやりたくないかではなく、それしか選択肢がなかったわけだ。その後、特に野望もなく、子どもを育てるために働いてきた。子どもたちもすでに独立し、著者も「ええ歳」になったからやめたい気持ちもあるが、長年通ってきてくれている患者さんもいてなかなかやめられない。流れに身を任せているうちに約70年が経っていた。

「生きがい」「己の成長」よりも、自分を食べさせられるようになるのが先決だ。その後に余裕があったらボチボチ考えていけばいい。人生は長いのだから。

仕事が好きじゃなくてもまったく問題ない

「仕事を好きにならなければならない」「仕事は楽しまなければならない」とまじめに考える必要はまったくない。もちろんやりたくて仕方がないことに出会えればいいが、それは宝くじに当たるようなものだと思っておこう。「働いていれば、いつか好きな仕事に出会えるだろう」というくらいの気持ちでいたほうが、ストレスがたまらないですむ。

仕事は、「やらないよりは、やるほうがマシかな?」というくらいのモチベーションがいい。そうすると過剰に期待をしなくてすむし、めんどうくさいこともイヤなことも「まあ、ときどきはそういうことも起こるだろう」とおおらかになれる。その中で、ふと嬉しいことがときどきあれば十分だ。

【必読ポイント!】期待しないほうがうまいことやれる

人を変えようとしない
oatawa/gettyimages

他人への不満はなくなることがない。ものすごくイヤな人や合わない人がいたら、その人とは思い切って離れてしまうのが一番いいだろう。仕事を変えたりパートナーを変えたりするわけだ。ただその人から離れたとしても、イヤな人、合わない人は不思議と出てくる。100%満足できる環境などないものだ。

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要約公開日 2019.01.19
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