小休止のすすめ

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出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2019年01月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

人生には「小休止」が必要だ。休んでこそ流れに乗れるときがある。27歳で個人事務所をつくって独立し、月間売上が6000万円にのぼるほどだったタレントのヒロミ氏と、26歳のとき史上最年少で上場を果たしたサイバーエージェント社長の藤田晋氏が、運とツキを呼び込む「人生の休み方」の極意を語っているのが本書である。

「小休止」をうまく取り入れていることが2人の成功に共通しているのは確かだが、そのスタイルはまったく違う。タレント・ヒロミを10年も休んでいる間、彼は畑違いのジム経営に注力し、50歳になってタレントとして再び大ブレーク。一方の藤田社長は、立場上、ビジネスの一線を長く離れるわけにはいかない。激務の合間をぬって、小さく休む時間を日常に組み込み、トップを走り続けている。

留意すべきは、本書が休み方だけにフォーカスしているわけではない点だ。どんな世界でも、チャンスと見たら積極的に勝負に出なければ、生き残ることはできない。同様に、潔く撤退すべきとき、守りに徹すべきとき、時期を逃さず戦略的に小休止を取る必要がある。本書はあくまで、勝ち続けるために、前進し続けるために休む方法を説いている。

本書は5つのテーマに分かれた30項目について、2人が自身の方法論や生き方を一人称で語っている。本要約もその体裁を踏襲してまとめた。それぞれが独立した内容なので、目次を見て気になった項目から読んでみるといいだろう。走り続けて息切れしそうなとき、ぜひ手にとってほしい一冊だ。

ライター画像
小島和子

著者

ヒロミ (ひろみ)
1965年東京都八王子生まれ。1986年、ミスターちん、デビット伊東等と共に「B-21 SPECIAL」を結成。若者を中心に絶大な人気を誇り、1990年にゴールデン・アロー賞芸能新人賞を受賞。1993年にタレントの松本伊代と結婚。日本を代表するMCとして活躍。40歳の時に加圧トレーニングジム51,5をオープン。著書に『いい訳しない生き方。』(ロングセラーズ)がある。

藤田 晋(ふじた すすむ)
1973年福井県生まれ。
97年に青山学院大学経営学部を卒業後、株式会社インテリジェンスに入社。
98年に退社し、インターネット総合サービス企業、株式会社サイバーエージェントを設立、代表取締役に就任。
2000年に当時史上最年少で東証マザーズに株式上場後、14年には東証一部へ市場変更、日経ビジネス「社長が選ぶベスト社長」に選出される。
16年、テレビ朝日と共同出資でインターネットテレビ局AbemaTVを発足させるなど新たな事業にも進出。
『起業家』『渋谷ではたらく社長の告白』『運を支配する』(幻冬舎)など著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    従来の方法が通用しないと感じたときは、小休止すべきだ。
  • 要点
    2
    仕事と直接関係のない人との出会いや、仕事以外のことに取り組む時間は、大きな刺激になる。自分を客観視できるし、新たなアイデアが生まれるきっかけにもなる。
  • 要点
    3
    どん底まで落ちぶれないために、一度は「負け」を認めよう。「下山」すべき時期を逃さず、負けを小さくすればいい。
  • 要点
    4
    浮上のチャンスはふいに訪れる。倦まず弛まず地道に準備を進め、勝負どころを見定めよう。

要約

人には「立ち止まる」ときがあっていい

40歳で初めての挫折
Robert Daly/gettyimages

【ヒロミ】デビット伊東、ミスターちんと3人で「B21スペシャル」を結成したのが1986年。21歳のときのことだ。尖ったスタイルがウケて、1996年には個人事務所をつくって独立するほどの成功を収めた。売上が月額6000万円にのぼったこともある。デビュー以来、約20年、タレント・ヒロミとして芸能界の一線を走り続け、テレビのレギュラー番組が途切れることはなかった。

だが、40歳を迎えようとする頃、空気が変わっていくのを感じていた。氷河期に入り、テレビ局も制作スタッフもスポンサーの方を見るようになったのだ。お金を出しているスポンサーが、尖ったキャラの僕より、もっと番組にふさわしい所作ができるタレントを選ぶのは当然のことだろう。40歳を目前にして、初めての挫折だった。

今まで通りにはいかないかもしれない。そんな予兆を感じ取ったとき、多くの人はどうしているのだろうか? 気のせいだと考えてその場に踏みとどまるのか、あるいは「何かが起きる」と身構えて対策を練るのか。

僕は後者を選択した。世間からもスポンサーからも求められなくなってまで芸能界にしがみつくより、僕は自分の意志でタレント・ヒロミを小休止させようと決めた。

危機を救ったアドバイス

【藤田】サイバーエージェントが東証マザーズに上場したのは、2000年3月24日。設立から2年、私が26歳のときだった。「史上最年少の上場企業社長の誕生」と報じられ、上場時の初値は1520万円。225億円の資金調達にも成功した。

上場後は「早く会社を拡大しなければ」と、会社設立時よりもさらに仕事に打ち込んだ。ところが上場の1カ月後、アメリカのナスダック市場でインターネット関連企業の株価が下がり始め、その影響は日本にもすぐに波及。ネットバブル崩壊の兆しが見え始め、株価は上場時の10分の1にまで落ち込んだ。

そんなとき、10億円を出資し、危機を救ってくれたのが楽天の三木谷浩史社長だった。その三木谷社長から言われたことがある。「外野の声に惑わされることなく、自分の信念を貫けばいい。時間をやり過ごすためにも何か趣味でも持ったら?」と。経営は長期戦だから、息抜きの遊びや趣味を持ち、小休止の時間を取った方がいい。そんなアドバイスだったのだろう。

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要約公開日 2019.03.29
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