著者は、新卒で地方のホームセンターに入社した。当時の年収は240万円。主な仕事内容はレジ打ちや理不尽なクレームへの対応だ。盆暮れ正月も仕事に明け暮れ、年末に帰省してくる友人から「バイトしてんの?」と言われたこともある。
その後10年で、リクルートやITベンチャーなどへの4度の転職を経験し、現在はベンチャー企業で営業部長の座についている。サラリーマンとしての年収は1000万円だ。それに加え、今までの転職経験を活かした副業を行い、年収4000万円を得ている。
著者の選んだキャリアは、「サラリーマンでいること」のメリットを享受しながら、個人でお金を稼ぎ、生涯年収を増やすというものだ。なぜなら、サラリーマンとして得られる経験には大きな価値があるからだ。サラリーマンとして働いた経験や知見は、個人でお金を稼ぐための「素(もと)」になる。実際、著者の4000万円という副業収入は、サラリーマンとして働くなかで得た知見や経験、自分自身の転職経験などを発信することで得られている。
年を重ねるにつれ昇進していき、退職金をもらって定年退職できた時代は終わった。現代において「安定した企業」は存在しないのだ。
昨今では、大企業が45歳以上の社員を対象に希望退職を募集したり、給与カットや企業合併を伴う役職降格を行ったりすることもある。もはや「大手企業に所属していること」と「大手企業で自分がサバイブできること」は、まったく別の話になっているのだ。
会社が倒産しそうなとき、ほかの会社に乗り移るでもなく、ただしがみついていたらどうなるだろうか。沈みゆく船と運命を共にするしかないだろう。そんな状況にあっても助かるためには、自分自身が「生き残る力」をつけておかなければならない。
あなたは、もし明日、会社に出勤して、上司からクビを宣告されたとしても「わかりました。では次にいきます」と言えるだろうか。「自分はいつだって転職できる」「どんな環境でも、自分でお金を稼げる」「給与以外に収入がある」という状態を実現していくことが「本当の安定」に繋がるのである。
お小遣い制度のない家に育った著者は、好きなものや欲しいものを買うために、小学生の頃からお金を稼いでいたという。初めてお金を稼いだのは、ゲーム『ポケットモンスター』のモンスターを友だちに売ることによってだった。中学生、高校生と成長するにつれ、中古ゲームを転売したり、オンラインゲームで得たアイテムやコインを販売したりしてお金を稼ぐようになった。
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