医者が教える食事術2 実践バイブル

20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70
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出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2019年08月08日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

本書は、テレビや新聞でも取り上げられて話題となったベストセラー『医者が教える食事術 最強の教科書』の続編である。情報があふれる現代において、正しい情報を読者に届けるという著者のスタンスは前著と変わらない。本書は「食のリテラシー」をテーマとし、よりいっそうエビデンスにこだわり、出所のしっかりした情報に基づいた具体的な食事術を掲載している。

日進月歩の医学の世界では、同じようにエビデンスがあるとされる情報であっても、研究が行われた時期や方法、データの切り取り方によって結論は異なる。真偽もわからない膨大な健康に関する情報の中から、本当に正しい情報はどれか、自分に必要な情報はどれかについて、素人である私たちが見極めるのは難しいものだ。

本書の著者は、医学部でも特に難解な分野とされる生化学を専門とし、「最先端の医学論文を隅から隅まで読むのが趣味」だという。本書ではそんな著者が、糖質に注目した具体的な食事法だけでなく、病気の早期発見につながる検査や適切な治療方針まで、幅広い指針となる情報を指南してくれている。きちんと根拠がある情報を選びとりたい読者にとって、本書は心強い味方となってくれるだろう。

著者は、「長生きに最も必要なものは『知性』である」と断言する。賢い消費者になるためにも、また、適切に医療機関を選べる人になるためにも、今読んでおきたい一冊である。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

牧田善二(まきた ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長。糖尿病専門医。医学博士。
1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New England Journal of Medicine』『Science』『THE LANCET』等のトップジャーナルにAGEに関する論文を第一著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師。2000年より久留米大学医学部教授。2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業し、延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』『糖質オフのやせる作りおき』『糖質オフ!でやせるレシピ』『糖尿病専門医にまかせなさい』『糖尿病で死ぬ人、生きる人』『日本人の9割が誤解している糖質制限』『老けたくないなら「AGE」を減らしなさい』『人間ドックの9割は間違い』ほか、多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    ビジネスとして食品を販売している人がいる以上、食に関するエビデンスは100%正しいとは限らない。
  • 要点
    2
    現代人の食生活は糖質過多の傾向にある。糖質は減らし、脂質はもっと多く摂るべきだ。炭水化物量は一日あたり120グラムが理想で、やせたい場合は60グラムほどで十分である。
  • 要点
    3
    BMIが25以上ある肥満気味の人は、一日の糖質摂取量を100グラム以下に抑えよう。夜はほとんど炭水化物を摂らず、「朝4:昼5:夜1」を目安にする。

要約

ちまたの健康情報は嘘だらけ

「エビデンス」の正体
seb_ra/gettyimages

誤った情報に振り回されないためには、「エビデンス」(医学的な証明)は重要な判断材料だ。といっても、どのエビデンスも100%正しいわけではない。その結論が示すのはあくまで一面的なことだ。ある食品に関してまったく結論が異なる論文が存在しており、食品メーカーがこれらの中から都合のいいものを使っていることもある。

3つのグループを対象として「この4年間に、ライフスタイルや食べ物をどう変えたか、そして体重はどう変化したか」を調査した研究を例に説明しよう。その研究によると、ポテトチップスを多く食べた人は太る傾向が最も強く見られた一方で、ヨーグルトを増やした人は一番やせる傾向があった。だが、ポテトチップスを増やす人とヨーグルトを増やす人とでは、そもそもの健康に対する意識が違うのではないだろうか。ヨーグルトを増やした人は健康への意識が高く、食生活に気を配っていたからやせたのかもしれない。

食の嘘

企業やそれを取り巻く人々の中には、自分の利益のために真実を歪める人たちもいる。食品の中にネガティブなデータを持つ成分が含まれていたとしても、それ以外のごくわずかな長所のみが強調されることさえある。そうした背景を知った上で、誤った思い込みのもとに行動していることがないか見直してみてはいかがだろうか。

本書では「食の嘘」として16の嘘が紹介されるが、要約ではそのうち3つを取り上げる。

まず、「低脂肪は体にいい」という嘘だ。太る原因は脂肪の摂りすぎではなく、ご飯やパンなどといった糖質だ。カロリーを摂れば摂るほど太るというシンプルな話ではない。

「甘酒や漬物は体にいい」というのも嘘だ。発酵食品は体にいいとされているが、発酵食品ならなんでもいいというわけではないし、過剰摂取はよくない。たとえば「飲む点滴」などと言われてブームになっている甘酒は、糖質の塊だ。100グラム中に含まれる炭水化物量はコーラよりも多い。

「ダイエットすると筋肉が落ちる」というのも、生化学上ありえない。エネルギーを使う順番は決まっている。まず、食べ物から摂取したブドウ糖、次に果糖や乳糖、その後に筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンという順に使われる。グリコーゲンが尽きるとようやく脂肪が使われるが、体重70キロの人だと、溜め込まれた脂肪だけで数カ月はもつだろう。その脂肪もなくなってはじめて筋肉がエネルギーに変えられるわけだから、体重が減ると筋肉が落ちるというのはまずありえない。

【必読ポイント!】三大栄養素の上手な摂り方

三大栄養素と「バランスのいい食事」
vaaseenaa/gettyimages

糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質の3つを「三大栄養素」と呼ぶ。糖質はエネルギー源として、脂質は細胞膜の構成成分などとして、タンパク質は筋肉や骨を作る成分としてそれぞれ重要であり、どれも欠けてならない。ただし現代人の生活においては、糖質不足で健康を維持できないという状況はめったになく、むしろ糖質過剰で脂質が足りていない人が多い。

では、「バランスのいい食事」とはどんなものか。

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要約公開日 2020.03.07
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