10年後に食える仕事 食えない仕事

AI、ロボット化で変わる職のカタチ
未読
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AI、ロボット化で変わる職のカタチ
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10年後に食える仕事 食えない仕事
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2020年03月12日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

AI(人工知能)化が進み、業務の負担がどんどん軽減されてきている。便利になり喜ばしいと思う一方で、はたして自分のやっていることがいつまで人間の仕事であり続けるのか、不安に感じている人も多いだろう。他方でAI化が思うように進んでいない領域もあり、期待されたほど生産性の向上に結びついていないという声も聞かれる。

「AIとこれからの働き方」をテーマにした書籍はいくつもあるが、本書の特筆すべき点は、著者が実際に現場で働いている人々の声を聞きながら、「人間にしかできない仕事」を分析しているところにある。AIやロボットの参入により消えていく仕事がある一方で、AIと人間の相乗効果が見込まれる分野もあるし、これから新しく生まれてくる仕事もあるはずだ。そう考えると、いたずらにAIの台頭を恐れる必要はないともいえる。そもそもAIを使えばなんでもできるわけではないのだから。

先行きが不透明な昨今、どうやって変化を先取りして対処していくべきなのか。いずれにせよ今後は、AIとうまく共存していくことが必須になる。技術の進歩だけでなく、人間の持つ強みを理解するうえで、本書はあなたの大きな手助けとなってくれる。

ライター画像
中山寒稀

著者

渡邉正裕 (わたなべ まさひろ)
ニュースサイト『MyNewsJapan』(mynewsjapan.com)のオーナー、編集長、ジャーナリスト。
1972年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、日本経済新聞の記者、日本IBM(旧PwCコンサルティング)のコンサルタントを経て、インターネット新聞社を創業。一貫して「働く日本の生活者」の視点から、雇用・労働問題を取材、分析、提言。著書に『企業ミシュラン』シリーズのほか、『10年後に食える仕事 食えない仕事』『35歳までに読むキャリアの教科書』『若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか』『トヨタの闇』など多数。
Twitter:@masa_mynews
Blog:mynewsjapan.com/blog/masa
連絡先:masa@mynewsjapan.com

本書の要点

  • 要点
    1
    「ルールと変数(変動要素)が限定された枠の中で最強の答えを見つける」という作業において、もはや人間がAIに太刀打ちすることは不可能である。
  • 要点
    2
    人間の強みが活かせる職業は、創造ワーク、感情ワーク、信用ワーク、手先ワーク、ボディワークの5つに区分される。
  • 要点
    3
    これからも人間の仕事として残り続けるのは、「デジタル・ケンタウロス」「手先ジョブ」「職人プレミアム」エリアに該当するものだ。それ以外の仕事は、「AI・ブロックチェーン失業」「ロボティクス失業」エリアに分類され、消え去っていく運命にある。

要約

AIの正体とは?

AIが得意な業務
Danor_a/gettyimages

AI(人工知能)は、この5年ほどで飛躍的な進歩を遂げた。「ディープラーニング」(深層学習)によって、より複雑な計算ができるようになったのだ。「ルールと変数(変動要素)が限定された枠の中で最強の答えを見つける」という作業において、もはやAIは人間の能力を超えた。それは単に「確率」と「統計」を複雑化したものに過ぎないのだが、「なぜその答えが正しいのか」を導き出すロジックが、人間の理解力を超えてしまったのである。

たとえば胃の検診で、「CTやMRIの画像1000枚の中から1ミリ未満の悪性腫瘍(がん)が写っている画像を正確に抽出せよ」といった課題があったとき、人間よりもAIのほうが正確さとスピードで勝る。AIなら過去の膨大な枚数の検査画像をあらかじめ読み込み、悪性腫瘍の「特徴量」を自動的に抽出して学べるからだ。画像診断を中核業務とする放射線技師の仕事は、その大半がAIに代替され、人間の仕事ではなくなるだろう。

一方で株価・為替・不動産価格の動きの未来予測(投資)など、「変数が完全に限定している」とはいえないものにおいて、AIの成果は芳しくない。株式相場や為替・不動産市場では、世界中のあらゆる事象や過去に例がない出来事が変数となるため、「組み合わせ爆発」(指数的爆発)を起こしてしまう。よって証券アナリストやファンドマネージャーが、AIに代替えされて失業することはないと予想できる。

人間の強みが活かせる仕事

人間の5つの強み

2020年以降の日本では、労働力人口の減少と、介護などの人手を必要とする高齢者の増加が同時進行する。そのためテクノロジー(IT、AI、ロボティクスなど)を活用して自動化を急速に進めなければ、社会が回らなくなってしまう。機械と競合する分野の仕事はすぐ機械に代替され、人間は別の業務や職種に吸収されていくはずだ。

では人間にしかできない仕事とはなんだろうか。著者はさまざまな現場労働者たちのもとに赴き、「あなたのその業務は機械(IT、AI、ロボット)に代替できるか?」と話を聞いて回った。そしてその根拠を問いながら議論し、「これは絶対に人間にしかできない」と判断したものの共通点をまとめた。その結果、(1)創造ワーク、(2)感情ワーク、(3)信用ワーク、(4)手先ワーク、(5)ボディワークの5つが、人間の強みを生かせる業務であり、同時に自動化のボトルネックとなっているという結論に至った。これらの要素が業務の中核スキルにある職業は、今後も自動化しないだろう。

人間の強みが生きる職業とは
Rawpixel/gettyimages

創造ワークは、発想力・構想力のうえに成り立った職業だ。創造性に関するプロセスはほとんど解明されておらず、AIで代替するのは難しい。ただし創造力だけで成立する職業には限りがある。創造力は起業家や経営者など、さまざまな職業に欠かせない能力であるが、それだけでは務まらない。創造力だけで職種として成立するのは、画家や彫刻家などの芸術分野くらいだ。

感情ワークとはいわゆる「感情労働」のことで、介護福祉士、看護師などの専門職のほか、高級レストランのウェイターや鉄道の駅員など、ほとんどのサービス業で必要となる能力を指す。「感情」や「感動」は人間にしかないもので、対峙する顧客や場の空気によっても答えが変わる。そこで論理的な正しさは求められない。AIには人間の感情を読み取る能力はないため、この領域も代替されにくい。

また、信用ワークも人間ならではだ。

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要約公開日 2020.08.10
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