やってのける

意志力を使わずに自分を動かす
未読
やってのける
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意志力を使わずに自分を動かす
未読
やってのける
出版社
出版日
2019年11月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
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おすすめポイント

私たちは日々の生活において、大なり小なり目標を持っている。しかし、それを実現できることは存外少ないものだ。明示的にあきらめてしまった目標だけではなく、やろうと思ってその必要性を強く認識しているはずなのに、気がついたら別のことをして時間が過ぎている、やらないと決めたことをついやっている、という場合も少なくない。こうして目標が達成できなかったとき、私たちは「能力が足りない」「意志薄弱だ」とつい自分を責めがちである。

しかし、心理学者として研究現場の最前線にいる著者によれば、目標が達成できないことの原因が能力不足にあることはほとんどないのだという。その上で、誰でも目標を達成する力を向上させることができるのだと断言する。

本書の特徴は、著者が研究者の視点から、確かであると断言できる情報だけを集めている点である。単なる経験則や根性論によらず、さまざまな場面やタイプ別の目標ごとに有効な戦略が紹介されており、すぐにでも実践できそうだ。あなたの達成したい目標がどのようなものであっても、本書の分類を用いれば、最適な解決策が見つかるだろう。

本書を読むと、目標の立て方について見直すことができるとともに、「今度こそ自分の目標に近づけるはずだ」と確信できるだろう。何かを成し遂げる力が欲しいと願う方に、ぜひ一度手にとっていただきたい。

ライター画像
池田友美

著者

ハイディ・グラント・ハルバーソン(Heidi Grant Halvorson, Ph.D.)
社会心理学者。コロンビア大学ビジネススクール・モチベーションサイエンスセンター副所長。コロンビア大学で博士号を取得(社会心理学)。アメリカ心理学会他で幅広く活動する、モチベーションと目標達成の分野の第一人者。目標達成能力、自己管理能力、幸福感を高めるための最適なアプローチを研究している。「ハーバード・ビジネス・レビュー」「フォーブス」などに論説を寄稿。他の著作に『フォーカス 成功と影響力のためのもう一つの世界の見方』、『目標の心理学』(ともに共著、未邦訳)などがある。夫、ふたりの幼い子どもとペンシルバニア州に在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    目標の達成には先天的な能力が必要だと思われがちだが、それは誤解だ。
  • 要点
    2
    目標達成に必要となる自制心は、個人差があるだけでなく、同じ人でも状況によって強くなったり弱くなったりする。
  • 要点
    3
    やる気や自制心を高めたいときは、その行動の理由、「なぜ」を意識するのが効果的だ。一方、難しい何かに挑むときは、目前のタスクである「何」に集中するとよい。
  • 要点
    4
    目標達成力を高めるには、目標のタイプを知り、適切なアプローチを選択することが効果的だ。

要約

なぜ目標が達成できないのか

挫折はあなたの資質のせいではない
Daisy-Daisy/gettyimages

人はなぜ目標を達成できないのだろうか。仕事や健康、人間関係、家計など、誰しも本気で取り組みたいと思うことが一つくらいはあるはずだし、それに挑戦もするのに、達成できることは少ない。このことに対して、原因は自分にあると考えている人も多いが、それは大きな間違いだ。

目標達成には、きわめて重要な概念がいくつか存在する。ここでは2つ紹介しよう。「目標を達成できるかどうかは、生まれつきの資質のみでは説明できない」と「目標を達成する能力は、誰でも高められる」である。

アメリカ政府のウェブサイトによると、多くのアメリカ人が新年の目標に「減量」と「禁煙」を挙げているそうだ。どちらも命に関わるため、モチベーションが高まりそうなものだが、それでも多くの人が失敗している。

挫折する理由としてよく挙げられるのが「意志の力」だ。これは一般的に、誘惑に打ち勝つために欠かせないものであり、生まれつきの資質であると考えられている。多くの人は、「世の中には意志の強い人と、弱い人がいる」と考え、挫折しがちなのは自分の生まれつきの資質のせいだと思い込んでいるのだ。

しかし意志力の正体は、一般に思われているようなものではない。心理学では意志の力を「自制心(セルフコントロール)」と呼ぶが、その正体は、おそらく皆さんが想像しているものとは異なっている。

自制心は筋肉のようなもの

誰だって自制心を持っている。しかしどんなに優れた人物でも、やるべきことが何なのかわかっているにもかかわらず、失敗をしてしまうのだ。オバマ大統領ですら、何度も禁煙に失敗している。

その理由は、自制心の強さが筋肉と同じように変化するからだ。自制心は個人差があるだけでなく、同じ人でも状況によって強くなったり弱くなったりするし、疲労することもある。スポーツクラブでエクササイズを終えた直後のように、何かを苦労してなし遂げた直後は、自制心をかなり消耗してしまっている。すると、他の目標達成が難しくなるのだ。そう考えると、オバマ大統領が禁煙に失敗してしまう理由も理解できるだろう。

自制心に関しては、他にもさまざまな事実が判明している。たとえば、報酬によってモチベーションを上げれば自制心の不足を一時的に補える場合があることや、定期的に自制心が求められる行動をとることで自制心を鍛えられるということなどだ。

【必読ポイント!】 さまざまな目標のタイプを知る

「なぜ」と「何」
Be-Art/gettyimages

目標を達成するには、達成すべき目標を明確に定めなければいけない。「どこか暖かいところに行きたいなあ」と夢想しているだけでは、南の島での休暇は実現しない。

目標を考えるときに重要な視点の一つは、「何」と「なぜ」の考え方の違いを知ることだ。

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要約公開日 2020.08.30
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