新装版 目からウロコのコーチング

なぜ、あの人には部下がついてくるのか?
未読
新装版 目からウロコのコーチング
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なぜ、あの人には部下がついてくるのか?
未読
新装版 目からウロコのコーチング
出版社
出版日
2020年02月18日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

どれほど大きな組織でも、組織は個人の集まりによって形成されている。組織の制度を上手く構築したとしても、個人の感情によって、もたらされる成果に大きな差が生じてしまう。組織を構成する個々人の力をいかに引き出すか。部署内のメンバーの心の繋がりをいかに確かなものとするか。これからの時代を生き抜く、活発な組織を作るためには、本書で紹介されている「コーチング」の視点や方法が今まで以上に必要となるにちがいない。

コーチングとは、相手の可能性を引き出し、自ら考えて行動することをサポートするスキルである。コーチというと、部活の指導者のような、厳しい指導を行う人物像が思い浮かぶかもしれない。だが、コーチングにおけるコーチは、相手と対等な立場に立つ。答を押しつけることなく、相手の中にある答を引き出すことで、その潜在能力を発揮させるのだ。

本書では、コーチングの基本的な考え方と実践の方法にくわえ、「上司と部下」「銀座No.1ホステスと常連客」といった豊富な具体例が、わかりやすく提示されている。チームのリーダーはメンバーの力を引き出すためにどうすれば良いか。管理職として個々の部下とどのように向き合えば良いのか。こうした悩みを抱えている人にとって、人間の本性に根差した本書のメッセージが大いに役立つだろう。

コーチング初心者の学びはもちろん上級者の振り返りにも効果的な「コーチング入門書の決定版」として、本書をおすすめしたい。

ライター画像
大賀祐樹

著者

播摩早苗(はりま さなえ)
㈱フレックスコミュニケーション代表。HBC北海道放送にアナウンサーとして勤務後独立。コミュニケーション心理学、自己表現、コーチングを学び、2004年に㈱フレックスコミュニケーション設立。現在、企業を対象とした組織開発のコンサルティング業務を軸とし、研修を設計・デザインしている。また、自らも講師として、管理職研修、営業職研修、プレゼンテーション研修のほか、士業、教員、医家などを対象としたオープンセミナー、女性のためのコミュニケーションセミナー、子育てに関するワークショップなどを中心に活動している。企業の経営者・管理職を対象に行うエグゼクティブコーチングは、業績向上とともに企業風土の変革にも寄与し、好評を得ている。さらに、ラジオ番組出演、経営者・管理職対象の講演などを通し、コーチングの普及活動も活発に行っている。著書に、『今すぐ使える! コーチング』(PHPビジネス新書)、『コーチングで変わる会社 変わらない会社』(共著、日本実業出版社)、『リーダーはじめてものがたり』『宿屋再生にゃんこ』(以上、幻冬舎)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    コーチングとは、会話によって相手の優れた能力を引き出しながら、前進をサポートし、自発的に行動することを促すコミュニケーションスキルを意味する。
  • 要点
    2
    コーチングでは、相手に指導・命令するのではなく、相手のありのままを受け入れ、潜在する答を引き出す。コーチは自分の気持ちを出発点として相手を承認するIメッセージを使うことが有効だ。
  • 要点
    3
    コーチが「相手は主人公だ」という意識で質問や承認を行えば、相手は自分自身をより深く見つめられ、有意義で充実した人生を送れるようになる。

要約

コーチングとは何か

コーチングの効果
Nelosa/gettyimages

あなたが管理職の立場にあるとする。部下が船、そして目標を島だと仮定してみよう。船が置かれている現状を部下自身で認識できるようにし、不安を軽減して、目的の島までの航海をサポートするのが「コーチ」である。コーチングとは、相手という船が目的の島に最短の航路で向かうために効果的にサポートするコミュニケーションスキルだ。

コーチングによる効果の一つは、「相手にとって『話を聴いてもらいたいひとになれる』ということ」である。部下にとって「話を聴いてもらいたいひと」になれたらどうか。部下は自ら錨を上げ、たとえ逆風でも広い海原へと進み、自分で判断できる能力を備えるようになるだろう。部下が発揮する能力は、「いい気持ちで働けるサポートができるかどうか」というあなたの管理職としての能力にかかっている。

船のナビゲーションは航海の専門家にしかできない。だが錨をもちあげるための安心を生み出すことは、コーチングによって誰でも行えるのだ。

組織でコーチングを行う場合、管理職がコーチングスキルだけを学んでいても成功は難しい。同時に自分のインターナル環境(内面的環境)のトレーニング、すなわち意識改革に取り組む必要がある。上辺だけのコーチングスキルでは部下を操作することになり、成果を出せなくなるからだ。

本書の目的は、コーチングの両輪である「コーチングする側がどのようにスキルの研鑽を行うのか」と、「コーチはどのようにインターナル環境を整えるのか」を紹介することである。

相手の答を引き出す

現役時代は名選手といわれたひとでも、指導者として名を残せるひとと、そうでないひとがいる。その二つを分けているのは、「選手個々の技能を見極め、優れた部分に焦点を当て、伸ばせるひと」か、「誰にでも自分のノウハウを押しつけ、合わない選手を潰してしまうひと」かという違いだ。指導者が厳しく自分のやり方を押しつけてきた組織では、いざ試合の際、選手たちはコーチの指示待ちとなり、立ち往生してしまう。

コーチングとは、会話によって相手の優れた能力を引き出しながら、前進をサポートし、自発的に行動することを促すコミュニケーションスキルだ。そこには「指導」という概念はなく、コーチとその相手は対等な立場となる。相手の職業に関する専門知識も必要ない。コーチングスキルを習得すれば、どのような相手との会話でもそれを活かせるようになる。

ひとは他人から命令されたときではなく、自分で「答」にたどりついたときに前進できる。答はそのひとの中にあるとするのが、コーチングの考え方だ。コーチの役割は、相手が答にたどり着くために、聴いて、受け入れて、質問することである。自発的にたどり着いた答に基づく行動は、命令による行動よりも、最終的に高い成果を得られる。ひとはみな条件が整えば、自分の力を最大限に発揮して、自己実現に向かうものなのだ。

【必読ポイント!】 コーチングのコミュニケーション

質問して、聴いて、受け入れる
HAKINMHAN/gettyimages

コーチングの大きな目的の一つは、ひとの潜在している能力を引き出すということにある。そのためには、「質問する」ことが有効だ。コーチングでは、「達成目標」をコーチに宣言する。目標を達成して成功した姿を宣言し、言語化することで、意識は成功することと深く関わりはじめ、成功のための機会に敏感になる。

コーチングは、質問して、聴いて、受け入れるという三つのスキルさえあれば、ある程度機能する。私たちは、自分の頭の中にある「ふるい」を通してひとの話を聞きがちだ。それでは選りすぐられた情報だけが残ってしまう。この「ふるい」と戦って、頭に浮かんだ自分の思いをすぐに手放し、相手の話を100%理解しようと思って聞く。これこそがコーチングにおける「本当に聴くこと」といえる。

質問して、答を聴くことを繰り返したら、「コミュニケーションを完結させる」ことが大切だ。相手の話を要約したり復唱したりして、「話を受け入れた」というサインを発信することで、コーチングのワンサイクルが終了する。

自分の気持ちを出発点にしたIメッセージ
pixelfit/gettyimages

「承認」は、部下を認め、強みを最大限発揮させるのに効果的なスキルである。大げさに褒めることとは違う。相手の「存在」について、あなたの「今ここで」の気持ちを伝えることだ。

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要約公開日 2020.08.26
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