他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方

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他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方
出版社
リベラル社

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出版日
2020年05月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

現役の住職が「いい人をやめよ」と伝えてくれるのは、なんとも痛快ではないだろうか。「いい人をやめる」という発想自体は新しいものではないが、「いい人たれ」と倫理を説く宗教家からそれが発信されているのが本書の面白いところだ。

著者の名取芳彦氏は密蔵院の住職であり、真言宗豊山派布教研究所研究員をしながら、仏教に関わるさまざまな活動に携わっている。そんな著者は仏教的な視点から、「みんなに好かれなくてもいい」「誘いを断ってもいい」「縁を切ってもいい」と教えてくれる。いい人をやめるといっても、自分勝手にわがまま放題ふるまえといった極端なことではない。嫌なことにはノーと言ったり、依存してくる人に対して一線を引いたりと、その内容はまっとうなことであるからこそ受け入れやすい。実行すれば確実に自分の生活が前向きになるだろうと思えるものばかりだ。

本書からにじみ出る著者の人柄は、「いい人」をやめていてもなお、いい人そうなのである。著者がやめた「いい人」とは、誰にとっても当たり障りのない「いい人」ということなのだろう。そう考えてみると、私たちは普段、好かれたいと思ってもいない相手、縁を切りたいと思っている相手にですら、「いい顔」をするべきだと考えて、疲弊していないだろうか。本書を読みながら、自分が誰にとっていい人でありたいか、考えてみてはいかがだろうか。

ライター画像
池田友美

著者

名取芳彦(なとり ほうげん)
1958年、東京都江戸川区小岩生まれ。密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏・ご詠歌・法話・読経など、幅広い活動をしている。日常を仏教で加減乗除する切り口が好評。主な著書に『気にしない練習』『小さな改善』『般若心経、心の「大そうじ」』(以上、三笠書房)、『心がすっきりかるくなる般若心経』(永岡書店)、『空海 人生お遍路』(幻冬舎)など、ベストセラーやロングセラーが多数ある。

本書の要点

  • 要点
    1
    幼少期から他人の評価を受け続けて育った私たちは、人からの評価を気にしがちである。それを認識し、人からどう思われるかを気にしない、自分流のやり方で幸せになれる目標に向かっていこう。
  • 要点
    2
    あなた自身のやりたいことに取り組んでいれば、「我慢してまで叶えたい目標か」と考えることで嫌なことにノーと言いやすくなる。目標を理由に気乗りのしない誘いを断ることもできる。
  • 要点
    3
    ときには依存してくる人と一線を引いたり、関わりたくない人と縁を切ったりすることも必要である。大切なのはあなたの今やこれからだ。

要約

【必読ポイント!】 人と比べないラクな生き方のヒント

私はこれでいい

私たちは小学校に入学して以来、他人の評価を受け続けて育ってきた。そんな私たちが、人からの評価を気にするのは仕方のないことでもある。人からの評価はよいに越したことはない。自己肯定感も高まる。しかしそのためにあえて媚を売ったりしていると、自分が嫌になってくることもあるだろう。

そんなときこそ、人からどう思われるかを気にしないでいられる自分をつくるチャンスだ。仏さまは、「慈悲で悟りを目指します!」などと向かうべき目標ややり方も自分で決めている。私たちも自分流のやり方で目標に向かっていけば、人の目を気にする必要はなくなる。ぜひ自分なりの幸せになれる目標を立てて、前に進んでみよう。

気づかいは疲れるもの
morgan23/gettyimages

「人に気をつかって疲れる」と言う人がいるが、かといってわがまま人間になってしまうわけにもいかない。人に気をつかうのは立派なことだ。相手のためにする気づかいは人との関係をあたたかなものにしてくれる。問題なのは、疲れてしまうことの方にある。

気をつかったら疲れるのは当たり前だ。そう思えば、疲れることに対して腹を立てなくなる。その余裕を持つには、他人に気をつかわないでいい空間や時間を確保する必要がある。散歩や読書、気のおけない人たちとの時間、のんびりした時間を意識的にもつようにすると、心のバランスが取れて、気持ちがラクになるはずだ。

仮面を外そう

他人から期待される人物像に合わせて「いい人」「いい子」を演じる人がいる。そうして仮面をかぶりつづけていれば、当然のように息苦しくなってくる。

世間一般の「いい〇〇」のイメージはあまり当てにならないものだ。たとえば、「いい子」は親の言うことをなんでも聞く孝行者のイメージがあるが、そのために自分の考えや価値観が持てなくなっては困りものだ。「いい上司」の理想像は優しい人だと考える人もいれば厳しい人だと考える人もいる。「いい部下」にしても従順、気骨がある、など人の好みはさまざまだ。このような人物像をすべて網羅し、演じることは不可能である。

周りから期待される人物像を演じようとするより、自分が理想とする人物像を思い描き、それに近づこうとするほうがよい。自分の魅力や才能を発揮できるようになるだろう。

嫌なことを我慢しすぎなくていい

嫌なことにノーと言おう
jmpaget/gettyimages

花を見て怒る人はいないので、仏教で花は優しさのシンボルである。

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要約公開日 2020.07.15
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