強い自分をつくるためには、目標を持つこと、そして壁に跳ね返されたとしても、何度でもあきらめずにチャレンジすることが大切だ。いまのやり方がダメだと思ったら、別の方法を考えてみる。特に大きな目標を達成しようとするとき、その道のりは長く困難なものになる。だが苦しい時期や鍛錬に耐えることで、人間は確実に成長できる。
『鬼滅の刃』の第6話で、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が最終選別試に出た鬼の頸(くび)をはねることに成功し、自らの成長を実感したシーンがある。修行を積み重ねることで、技術が向上し、結果として精神力も強くなったのだ。
積み重ねた先の成功は、「自分はできる」という有能感を高めてくれる。何事も積み重ねることが基本である。
人生にはさまざまなライフステージがあり、次のステージに進むにつれて難易度は上がっていく。生きていくためにクリアしなければならないことは多く、時にはうまくいかないこともある。
悩みや苦しみの深さは、それをどう自分のなかで処理したかによって変わる。課題をひとつ解決すれば、次の新しい課題がかならず出てくる。簡単に解決できるものはひとつとしてない。前向きに捉え、すぐにまた別の方法を考えるしかないのだ。
壁にぶつかったときこそ、ポジティブに考えていくことが重要である。「三歩進んで二歩下がる」ぐらいに考えたほうが、人生うまくいくことも多い。
ひとつのことに徹底すると、やがて自分なりの型が見つかる。
炭治郎の同期である我妻善逸(あがつまぜんいつ)は、師匠から伝授された「雷の呼吸」の6つの型のうち、結局「壱の型」しか使えなかった。だがその型を徹底的に磨き上げ、ついにはオリジナルである7番目の型を生み出し、因縁の敵を撃破することに成功する。
古くは茶道の「守破離」にも見られるように、ひとつのことに真剣に向き合えば上達するし、その先に独自の個性も生まれる。基本を覚えたら、まずトライしてみる。そしてうまくいかない経験から、原因と改善策を考える。こうして試行錯誤するうちに、自分なりのやり方が身につく。「強い自分になるには近道はない」ということだ。
『鬼滅の刃』は、主人公の炭治郎が鬼になった妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻すため、鬼と戦う物語だ。誰かのためという思いを持って行動を起こすと、人はいつもより大きな力を発揮できる。しかも誰かのために何かを達成したときの方が、満足度も高い。心理学用語では、これを「向社会的行動」という。
自分のためにする娯楽と、他人のために行う慈善を比較した実験がある。それによると、後者の方が満足度は長続きしたという。日本人、とりわけ都会に住む人は、他人に無関心なことが多い。逆に言うと、他人のために行動できるような人は、多くの人よりも強い心を持てているということだ。
職場などで「この仕事は君に任せる」と言われたことがある人もいるだろう。そういった経験がなくても、幼い頃に親や周りの大人に期待をかけられ、「なんとかしなければ」という思いが芽生えた経験はないだろうか。
期待に応えたいと感じ、使命感や責任感を覚えることは、人の持つ本能のようなものである。
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