文章を書くためにはまずその内容が必要となる。これは当たり前のことのように思えるだろう。実は、多くの人は書くべきことを明確にできていないために、文章作成に苦労しているのだ。文章の質を上げるための第一条件は、思考が明確になっていることである。「伝えるべきこと」「伝えたいこと」が自分の中ではっきりと整理できている人は、思考を上手く文章化することができるだろう。
「何となくこういうことを伝えたい」という漠然とした考えで文章を書き始めてしまうと、何を言っているのかよくわからない内容になってしまう。わかりやすく納得できる文章には、短くシンプルな文が集まっている。一方で、整理されていない人の文章はだらだらと冗長になりがちだ。文章を書く前に、漠然とした思考をしないようにする。これを怠ってしまうと、「自分はこれが言いたい」と思うことを的確に言語化することができない。
思考を整理するために最適な方法は、2つの軸を立てて考えを明確にすることだ。軸の内容は人それぞれ異なっているが、その2つの軸が交差するところに、「あなたが伝えたいこと」がある。たとえば、あなたが「新しい洋服を買いたい」と思ったとき、「シャツ」の軸と「好きなブランド」の軸の2つを設定すれば、欲しい商品を明確にすることができる。それと同様に、自分が書くべき文章の要素を2つ軸に当てはめるとよい。商品開発の企画書であれば、「自分が興味関心を寄せている商品」と「お客様のメリット」の2つを交差させる。そこで浮かび上がった商品をプレゼン資料の文章に落とし込む。こうした2軸の考え方を日ごろから行なうようにしたい。
これだけでは具体性がないため文章化がしづらいという人は、2つの軸を設定した上で「それを形にするための情報を集める」作業をしよう。営業職の人であれば、他社の商品のアフターケアの内容など、何でもよいので間口を広くして情報を集める。キーワードを設定して具体化することも効果的だ。そうして伝えたいことについて詳しくなるにつれて、あなたの思考はより明確なものとなるだろう。
そもそも書く習慣のない人は、1つの軸だけでもいいから思考を全部書き切る練習をしてみよう。そうして書いているうちに、文章を書くことに慣れていく。そのあとに、2軸で思考を明確にして書く段階をふむ。
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