著者は、最近の50年間に出版された「成功に関する文献」は、社交的なイメージのつくり方やその場しのぎのテクニックばかりを取り上げており、どれも表面的だということに気付いた。そうした考え方を「個性主義」と著者は呼ぶ。
一方で、アメリカ建国から約150年の間で書かれた「成功に関する文献」は、誠意・謙虚・誠実・勇気・忍耐・勤勉・質素・節制・黄金律など、人間の内面にある人格的なことを成功の条件に掲げていた。これを「人格主義」と著者は名づける。
個性主義のアプローチは、あくまでも二次的なものであり、まず行うべきことは、一次的な土台として人格を磨くことである。そうしなければ、長期的な成功は果しえない。
「7つの習慣」は人格を磨くための基本的な原則を具体的なかたちにしたものである。その原則を守ることで、自らが変わり結果を引き寄せていく、という新しいパラダイム(物事の見方)を手に入れることができる。
7つの習慣とは、「依存」から「自立」、「相互依存」へと至る、成長の連続体を導くプロセスでもある。そのプロセスは、「私的成功の習慣(第1~第3の習慣)」、「公的成功の習慣(第4~第6の習慣)」、「再新再生の習慣(第7の習慣)」と大きく3段階に分類することができる。
現代において、人格は、状況や条件付けによって決定されると考えられている。遺伝子によって、育ちや子供時代の体験によって、取り巻く環境の中にいる誰か・何かによってなど、要因とされるものはさまざまだ。こうした考え方は、刺激/反応理論とも言い換えられる。何らかの刺激によって反応(つまり人格)が決まるという考え方である。
状況や条件付けが人格に影響を与え得ることは筆者も認めている。一方で、筆者が説く重要な指摘は、刺激と反応の間には、「選択の自由」があるという点である。つまり、私達は人間だけに与えられた「想像、良心、意思、自覚」という重要な能力によって、究極的には、何が起ころうとも(刺激)、それが自分に与える影響(反応)を自分自身の中で「選択」することができる。
これらをふまえて、「主体的である」ということを考えてみよう。私達の行動は、自分自身の決定と選択の結果である。私達は感情を抑えて自らの価値観を優先させることができる。「主体的」とは、自発的に率先して行動することだけを意味するものではなく、人間として、自分で選んだ人生の責任を引き受けることも意味する。
今自分が不幸であると何年も感じていた方にとっては、その状況は自分が選んだことだという考え方は受け入れにくいだろう。しかし、深く正直に「今日の自分があるのは、過去の選択の結果だ」と言えなければ、「私は他の道を選択する」と言うこともできないのである。
一度、自分の葬儀の場をイメージしてみてほしい。そして、弔問客たちに、あなたの人生をどのように語ってほしいか、深く考えてみてほしい。
第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」は、人生におけるすべての行動を測る基準とするために、自分の人生の最後を思い描き、それを念頭において今日という一日を始めることである。
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