職場において「ホント」のこととして定着している考えや慣行の多くは、その職場で働く人々をいらだたせたり、疎んじられたりしている。たとえば、組織目標をブレイクダウンして、各階層で働く人々の目標を組織目標に連動させることは、仕事での連携を図ったり、働く人々を評価したりするのに最適だとされている。
しかし、毎年目標設定を行っている従業員のほとんどは、このような目標設定プロセスに対して「実際の仕事とはほとんど関係がない」あるいは「無意味で複雑すぎる」と感じているのではないだろうか。
このような欠陥の多いシステムやツール、プロセスなどによって職場がコントロールされているために、従業員が日々の仕事で強みを発揮することが難しくなっている。このような慣行を、本書では「ウソ」と呼ぶ。「ホント」から始まったはずのものが「ウソ」になってしまったことを暴き、その裏にある、より普遍的な真実を明らかにすることが本書の目的だ。
本書が扱うウソは次の9つだ。
(1)「どの会社」で働くかが大事
(2)「最高の計画」があれば勝てる
(3)最高の企業は「目標」を連鎖させる
(4)最高の人材は「オールラウンダー」である
(5)人は「フィードバック」を求めている
(6)人は「他人」を正しく評価できる
(7)人には「ポテンシャル」がある
(8)「ワークライフバランス」が何より大切だ
(9)「リーダーシップ」というものがある
本要約ではそのうち(1)、(3)、(5)のウソについて紹介していく。
最初に暴くべきウソは、「どの会社で働くかが大事」というものだ。
『フォーチュン』誌の「働きがいのある企業100」といったランキングに取り上げられる企業は、自社の「企業文化」を定め、巧みに築き上げてきたように見える。
企業文化が重要である理由は、企業文化が次の3つの役割を果たすからだと言われている。第一に、企業文化はその会社で働く人の人となりや立ち位置について教えてくれるということ。第二に、人々に注目される企業文化は、いまや「企業の成功要因」と見なされているということ。第三に、企業文化は「企業が目指す方向性」を示す言葉になっているということだ。多くの求職者は、企業文化を参考に、希望の職場を探している。
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