著者はドン・キホーテでの仕事や企業コンサルティング、コーチを通じて、多くの人を見てきた。そして、仕事で結果が出る人には、共通点があることがわかった。それは、面白がって仕事をしているかどうかだ。
なぜなんでも面白がれる人が強いのか。どんな仕事も9割は泥臭くて地味なものだ。一方で、どんな仕事にも面白がれる点がある。それを見つけて、面白がって仕事をしていれば、エネルギーが生まれ、おのずと結果が出せるようになる。
著者はドン・キホーテに勤めていたとき、どうすれば楽しいかだけを考えて仕事をしていた。ドン・キホーテでは、もともとダンボール陳列や商品を縦に積むディスプレイが定番だった。そこに手を加え、現在のドン・キホーテならではのゴチャゴチャとしたジャングルのようなディスプレイに変えていったのである。
なぜ、派手派手なディスプレイにしたのか。それは、著者が「面白かったから」。面白い空間ができると、そこにいるだけで楽しくなる。結果としてお客さんも「面白そう」と寄ってきた。すると売り上げがどんどん伸び、ジャングルのような派手なディスプレイは、ドン・キホーテの店舗全体のディスプレイとして定着した。
著者は、商品の売り上げを伸ばすために、ディスプレイを工夫したわけではない。自分が本気で面白い、楽しいと思えることをやっただけである。それが結果につながったのだ。
面白いこと、楽しいことが人を動かす。斬新なアイデアは、雑談を楽しめる雰囲気の中から生まれる。『アイデアのつくり方』によると、「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせである」という。新しいアイデアは、自分の頭の中だけで考えても限界がある。効率的にアイデアを出すための方法が雑談なのである。
「面白い」「楽しい」と感じるようなアイデアは、雑談ができる職場でしか生まれない。そうした職場は、上司と部下のコミュニケーションがうまく取れている。
さらに、上司が部下の資質を見抜き、適材適所に配置することも重要だ。人には輝ける場所が必ずある。それぞれの得意分野を生かしながら楽しく仕事ができる環境でこそ、人は120%能力を発揮できる。
なかには「好きなことを仕事にしていないので、楽しめない」という人もいるだろう。しかし、仕事を楽しむのと、趣味を仕事にするのは違う。大切なのは、自分が何に喜びを感じるか、何を面白いと思えるかを理解し、それを仕事にすることだ。
たとえば、自分が考えたアイデアを形にすることが楽しい人は、仕事でも趣味でも、それを徹底的にやればいい。もしくは、人と話すことが好きなら、それを仕事でどう生かすかを考えればいい。そのためにも、まずは自分を知ることが大切だ。
自分の働き方を「仕事が楽しいモード」にする方法を紹介しよう。大事な視点は、仕事そのものを楽しむこと、仕事の面白さを見つけようとすることだ。目の前の仕事に、小さな喜びや楽しさを見つけて、それを膨らませていく。
また、周りの人やお客様を楽しませよう、驚かせよう、喜ばせようというマインドセットも重要だ。著者はこの考え方を、「エンターテインメント精神」や「アミューズメント精神」と呼んでいる。この精神にあふれた職場は、自ずと楽しいものになる。
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