SNSとは、個人間のつながりをサポートする会員制のウェブサービスを指す。厳密に言えばブログやTwitterはSNSに含まれないが、ここでは「Facebook」「Twitter」「ブログ」などのウェブサービスによる発信すべてを「SNS発信」とする。
著者は本書で、実名でのSNS発信を勧めている。なぜなら、著者自身、実名でのSNS発信によって人生が変わったからだ。
著者は新卒でNTTに入社した。支社勤務を経て本社のIR担当となり、会社への貢献を考えて懸命に働いてきたが、会社からは思うように評価されない。無力感を覚えることが増えていき、IT系のコンサルティング会社に転職することにした。しかしそこでもうまくいかず、再び転職。ここでも成果を出せず、クビの恐怖におびえていた。
そんな状況から抜け出せたのは、ブログを書いていたおかげだ。あるブロガーのイベントに参加したとき、隣に座っていた人が自分のブログの読者だったのだ。一度も会ったことのない人が自分のことを知ってくれている。著者にとっては、「革命」だった。
ブログの次は、SNSを始めてみることにした。すると、ネット業界の関係者の多くがSNSを通じてつながり、日常的にコミュニケーションをとっていることに気づいた。会社を越えた関係が、仕事にもつながっていたのだ。
そこで著者は、会社での残業をやめ、個人でSNS発信をしながら、ネットワークの構築に注力しはじめた。ネット界隈では、所属していた会社名よりも著者の個人名のほうが有名になり、所属している会社に興味を持ってくれる人も増えた。会社に貢献できるようになることで、クビへの恐怖感はいつしか薄れていった。仕事以外でも、本を出版したり、別の会社の創立メンバーとして声をかけられて社長をつとめるようになったりと、人生が大きく変わっていった。
実名でのSNS利用を勧めても、ビジネスパーソンはいくつかの思い込みから、発信をためらいがちだ。ここでは、2つの思い込みを紹介しよう。
まず、「文章力が必要」という思い込みだ。ビジネスパーソンのSNS発信には、高度な文章力は必要ない。個人のSNS発信は、「おしゃべり」の延長だ。身構えず、気軽に発信してみよう。
次に、「自分には発信するようなネタはない」という思い込みだ。自分が持っている情報が有用なものかどうかは、自分で判断してはいけない。なぜなら、どんな立場の人のどんな情報であっても、それを求める人が必ずいるからだ。自分が持っている情報が誰かの助けになり、問題解決の糸口になる可能性は十分にある。
SNS発信は、ネットでのコミュニケーションだけでなく、リアルにもいい影響がある。ここでは、SNS発信が仕事に役立つ理由を3つ紹介しよう。
1つ目は「プルのコミュニケーション」ができることだ。
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