2018年、アメリカを悩ませる渋滞問題を大胆な方法で解決しようとするウーバーが、「空飛ぶ車」をテーマに、2回目の年次会議を開催した。2019年半ばまでに、空飛ぶ車の開発会社に10億ドル以上が投資され、プロトタイプの開発が進んでいる。古くからSFに登場していた「空飛ぶ車」は、もはやサイエンス・フィクションではなく、サイエンス・ファクトになった。このような急速な発展を可能にしたのが、進化するテクノロジー同士の「コンバージェンス(融合)」だ。
テクノロジーの中には一定間隔で性能が倍増していくにもかかわらず、価格は下落していくものがある。その最たるものがムーアの法則だ。インテル創業者のゴードン・ムーアは集積回路上のトランジスタの数が18か月ごとに倍増していることを発見した。これは、コンピュータのコストはそのまま、1年半で性能が倍増していることを意味する。このペースで進歩しているのは集積回路だけではない。グーグルのエンジニアリング担当ディレクターのレイ・カーツワイルは、あるテクノロジーがデジタル化されると、ムーアの法則にのっとって「エクスポネンシャル(指数関数的)」な加速が始まることを発見した。
新しいコンピュータにより、さらに高速な新しいコンピュータが開発される。すると、加速のペースはさらに加速する。量子コンピュータやAI、ロボティクスなどは、この加速度的なペースでイノベーションが起きている。
最も注目すべきは、これまで別個に存在していたエクスポネンシャル・テクノロジーが融合することで、さらに進化のスピードが加速しているということだ。新たな市場を生み出し、既存の市場を消滅させるイノベーションは「破壊的イノベーション」と呼ばれる。エクスポネンシャル・テクノロジーは単独でも製品、サービス、市場を破壊するが、融合した場合にはその破壊力がケタ違いになる。エクスポネンシャル同士が融合すると、製品、サービス、市場を支える構造そのものが消滅する。
テクノロジーの急速な発展により、次の10年で私たちの生活はどう変化するだろうか。
3,400冊以上の要約が楽しめる