1on1とは上司と部下の間で行う1対1の対話である。ヤフーでは原則週1回30分、上司が聞き役に徹して部下の話を傾聴する。
「いいからやれ!」「見て覚えろ!」という上司は少なくなった。しかしそれは表面的で、実際の振る舞いの本質は変わっていないと、著者は見ている。1on1を導入している企業でも、上司による詰問の場になっているケースや、部下が上司の求める言葉のみを発しているケースは少なくない。
本来の1on1とそれらの違いは、「部下のための時間」であるか否かだ。上司たちは、いつの間にか身につけてしまった強権的な振る舞いを、1on1でも踏襲してしまっている。
こうしたマネジメントでは人は動かない。かつての日本では、上司が部下に正解を教えられただろう。しかし、不確実性の高い現在、上司と部下がともに最適解を探さなければ、業務の遂行や利益の獲得は難しい。1on1はそのために必要なコミュニケーションである。リモートワークのもと、上司と部下との信頼関係の構築の仕方や、評価をどう下していくかという人的マネジメントもますます課題となっている。
2012年以降、ヤフーでは8年以上にわたって1on1を続けてきた。それは、多くの社員が「わざわざ時間を割いてでもやる価値がある」ことを実感しているからだ。
本書では、1on1の代表的な目的が6つに整理されている。要約ではそのうち3つを紹介しよう。
1つめは、「部下との信頼関係の構築」だ。働き方改革が浸透し、ジョブ型雇用の重要性が指摘されるなど、現代は「個が尊重される」時代である。「信頼」は、組織の成果を高めるキーワードになるだろう。
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