フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉

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フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉
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フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉
著者
出版社
出版日
2015年12月03日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

2022年1月の第98回箱根駅伝は、青山学院大学陸上競技部が、10時間43分42秒の大会新記録を叩き出し、2年ぶり6度目の総合優勝を果たした。特に復路(第6区~第10区)では最初から最後まで1位で、メディアが「強すぎる」と取り上げていたことを思い出す。

本書は、そんな強豪・青学陸上競技部の監督である著者が、チームを常勝軍団として導くために伝えてきた47の言葉をまとめてある。監督としてあるべき姿を綴ったスポーツの本ではなく、組織づくりに携わる人間として成すべきことが語られたビジネス書だ。

著者が陸上選手として過ごす中で学んだことではなく、現役生活の引退後、中国電力の営業担当者として働く中で学んだビジネスノウハウを、青学陸上競技部という組織に生かすために行ったこと、それによって現れた変化などがエピソードとして記されている。

強い組織を作るためには何を心がけたらいいのか。どんな人を引き入れ、どのように育成すればいいのか。こうした課題は、あらゆる企業が抱えているだろう。実際に「人と組織」を強くしてきた著者のアドバイスが詰まった本書は、説得力のある解決策を示してくれる頼もしい存在となるはずだ。

ライター画像
藤平泰徳

著者

原晋(はら すすむ)
青山学院大学体育会陸上競技部長距離ブロック監督。
1967年、広島県三原市出身。世羅高校を経て、中京大学に進学し全日本インカレ5000mで3位入賞。卒業後、陸上競技部第一期生として中国電力に進むも、故障に悩み、5年目で競技生活から引退。95年、同社でサラリーマンとして再スタートし、電気の検針や料金の集金などの業務につく。その後、営業マンとして新商品を全社で最も売り上げ、ビジネスマンとしての能力を開花。
陸上と無縁の生活を送っていたが、長年低迷していた青山学院大学陸上競技部監督への就任話が舞い込む。選手として箱根駅伝出場などの華々しい成績や指導経験がなかったものの、2004年に3年契約で監督に就任。
しかし、契約3年目での箱根出場を逃し監督辞任のピンチを迎えたが、ビジネスで培ったプレゼン力で猶予をもらい、09年に33年ぶりの箱根駅伝出場果たす。
15年、青学史上初となる箱根駅伝総合優勝に輝く。16年、箱根駅伝2連覇、および、39年ぶりに1区から10区まで一度も首位を譲らない完全優勝という快挙を達成。そして17年、3連覇。大学3大駅伝である出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の優勝により、大学駅伝3冠という快挙も同時に成し遂げる。3連覇3冠の同時達成は史上初。18年、箱根駅伝4連覇。19年の箱根駅伝は、出雲駅伝と全日本大学駅伝で優勝し、箱根駅伝5連覇と史上初の2回目の3冠を目指すが、惜しくも総合2位(復路優勝)。20年、大会新記録で5度目の総合優勝を果たし、再び頂点に返り咲く。21年の箱根駅伝では、往路12位から巻き返し、復路優勝を果たす(総合4位)。22年の箱根駅伝では、2年前の大会新記録を更新し、6度目の総合優勝を果たす。
ビジネスの経験を生かした「チームづくり」「選手の育成」で陸上界の常識を破り、快進撃を続ける。

本書の要点

  • 要点
    1
    大会を連覇したり、常に上位を争ったりできるような勝ち続けるチームになるために、誰が監督になっても強い組織にする必要がある。そのためには、きちんとした育成システムを作り上げなければならない。
  • 要点
    2
    「強さ」を持つ人材を採用するには、具体的な育成プランを提案するとともに、組織やチームのビジョンを伝えることが大切だ。
  • 要点
    3
    業界内では常識外れな考え方でも、本質を外していなければ変える必要はない。貫き続ければ、支えてくれる仲間に出会える。

要約

結果を出し続ける組織の心得

誰が監督になっても強い組織にする
Liountmila Korelidou/gettyimages

スポーツ界、芸能界、ファッション業界、自動車業界、金融業界……。世の中には業界、業種ごとに独自の文化、慣習がある。それぞれ業界の中だけで通用する常識がある。その常識は、ときに世間一般と比較すると非常識と思えるものもあり、時代遅れの場合さえある。

著者は、中国電力で陸上選手として現役生活を終え、約10年の時を経て陸上界に戻ってきた。そのとき、自分の現役時代とまったく変わらない指導方法がいまだに主流となっていることに気づいた。

新しい発見やアイデアは、内から生まれるより、外と交わることで生まれてくるものだ。著者は、青山学院大学陸上競技部の監督に就任して以来、中国電力の営業マン時代に学んだビジネスノウハウを積極的に取り入れてきた。

著者が青学陸上競技部の監督に就任した当初から意識してきたのは、誰が監督になっても強い組織にすることだった。世の中には、経営者が変わっても従来通り成長を続ける企業はいくらでもある。長期的に繁栄を続ける企業のように、トップが変わってもぐらつかない組織を目指した。

その土台づくりで心がけてきたのは、任せられるようになったら権限を委譲することだ。役割を分担して責任感を持たせることで、その役割を与えられた人は成長し、組織の成長にもつながる。

突然スーパーエースが出現して勝つチームのほうが、観ている側には魅力的に映るかもしれない。しかし、それだけでは大きな大会を連覇したり、常に上位を争うチームとして定着したりはできない。

著者は、仮に自分が監督を辞めても弱くならないように、スーパーエースの出現を待望するのではなく、時間をかけてチーム力を底上げして優勝を狙うやり方を選んだ。

強い組織に必要な育成システム

著者は、自分が就任したばかりの頃の青学陸上競技部に、2015年箱根駅伝初優勝のメンバーが揃って入部していたとしても、結果を出せなかっただろうと話す。なぜなら、就任当初の青学陸上競技部には、育成システムがなにひとつできあがっていなかったからだ。

「規則正しい生活をする習慣」もなければ、「目標を管理して計画的に総力を伸ばしていく方法」もない。「コンディションを整える」ことも、「大会に合わせて状態をピークに持っていく方法」も確立していない。どんなに素材がよくても、その潜在能力を引き出し、伸ばしてあげる環境がなかったのだ。耕していない土壌に、いくらいい種を蒔いても芽は出てこない。

一方、いい種が芽を出し、ちゃんと育っていくような土壌をつくるにはそれなりに時間がかかる。著者の場合はその土壌づくりに10年近く費やした。

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要約公開日 2022.05.02
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