誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法

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誰にも嫌われずに同調圧力をサラリとかわす方法
出版社
出版日
2022年05月10日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

長く生きていれば、同調圧力を感じて「嫌だなあ……」と思った経験が誰にでもあるのではないか。同調圧力は職場にも家族にも存在する。圧力に対して拒絶や抵抗の素振りを示すと、嫌われたり相手を傷つけたりするのではないかと、不安になる人もいるだろう。このとき相手を傷つけることなく、圧力による嫌な感じを抜け出すには、どうすればいいのか。

本書は、そもそも同調圧力を感じやすい人、同調圧力をかけがちな人の心理状態に着目する。その状態をよく観察したうえで、同調圧力をかけてくる「相手」に働きかけるのではなく、「自分」の状態を改善することを勧める。そうすることで、同調圧力に対する嫌な気持ちを取り除くだけではなく、誰かに圧力をかけてしまうことをも避けられるようになる。

著者も、同調圧力をかけてくる人とはとかく距離を取りがちだったのだが、それは根本的解決にはなっていなかったという。相手のあり方を変えるのは相手自身であり、自分にはできない。そうしたとき、自分の中の感じ方をどのように変化させれば、同調圧力にうまく対応できるのか、本書は紹介している。

自分の内面に気づき、変化させるプロセスは、誰かに働きかけることなく、誰とも闘わない、自分自身だけのものだ。しかも、自分が同調圧力の影響を受けないようになることは、周囲にいる他者にも心の安定をもたらす。

人間関係でつい、同調的な態度を気にしてしまう癖が抜けないという読者には、ぜひ一読をすすめたい。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

大嶋信頼(おおしまのぶより)
心理カウンセラー/株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。
米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。ブリーフ・セラピーのFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。
アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研究生として、また嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室非常勤職員として依存症に関する対応を学ぶ。嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、株式会社アイエフエフ代表取締役として勤務。心的外傷治療に新たな可能性を感じ、株式会社インサイト・カウンセリングを立ち上げる。多くの人が自由に生きられることを目指し、治療を行なっている。
カウンセリング歴28年、臨床経験のべ9万件以上。ブログ「緊張しちゃう人たち」や会員制オンライン講座「無意識の旅」をほぼ毎日更新している。
著書に『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)、『「空気読みすぎ」さんの心のモヤモヤが晴れる本』(永岡書店)、『孤独とお金の不安から解放してくれる25の呪文』(主婦の友社)、『ミラーニューロンの彼方へ! 支配からの解放』(青山ライフ出版)等多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    同調圧力に従わされている状態とは、幼い子どもの状態に戻ったようなものである。この状態では、相手の状況を尊重することなく、自分が何をやっても許されるという感覚が存在する。本書ではこうした状態の人々を、「同調圧力チルドレン」と呼ぶ。
  • 要点
    2
    「同調圧力チルドレン」は、自分の同調圧力に対する弱さを認められず、ゆえに弱さを打ち消す意図で同調圧力を繰り返す。
  • 要点
    3
    同調圧力を受けやすいのは、精神状態が不安定なときである。人に気を使わず、自分の気持ちだけに注目することで、精神的な安定が得られる。

要約

【必読ポイント!】 同調圧力とはどういう状態か

同調圧力に屈する心理

日々何気なくやっているさまざまなことに対して、「それって本当に自分がやりたいこと?」と問いかけてみてほしい。

周りに流されていたと思い当たる節がある人は、同調圧力に飲み込まれてしまっている状態と言える。同調圧力は、職場、近所付き合い、家族関係など、いたるところに潜んでいる。

同調圧力に屈してしまう原因は、「従わなければ、みんなから見捨てられて孤立してしまう」という恐怖である。それは、幼い子どもに対して親が「いうこと聞かないと置いて帰るからね!」と孤立をちらつかせる状態に例えられる。

同調圧力に従わされている状態とは、幼い子どもの状態に戻ったようなものであると、著者は説く。かつて孔子は「三十にして立つ、四十にして惑わず」と言ったが、大人は30歳までに独り立ちできていて、孤立する感覚に引きずられない自立した存在のはずである。しかし多くの人が同調圧力に屈してしまうのは、多くの現代人の中身が子どものままの状態だからである。

同調圧力チルドレン
StudioM1/gettyimages

SNSの普及は、同調圧力という言葉を一般化させた。SNSでは、世の中的によいことだと信じられているものを、人に押し付ける構図になっている。

SNS発の同調圧力が厄介なのは、誰かを傷つけても「みんなが思っていることを自分が代弁しているだけ」といった認識になりがちな点だ。SNSで同調圧力をかける人は、世論の名の下に、孤立しないことを分かった上で人を叩く。つまりこれらの人も、もとを正せば同調圧力に屈従する人であり、孤立する恐怖の有無によって態度を変えうる「子ども」の状態だといえる。

著者は、同調圧力に従って子どもと化した人を「同調圧力チルドレン」と名づける。そうした人の根底には、自分が何をやっても許されるという感覚が存在する。ちょうど子どもが「自分は子どもだから大人に何をやっても大丈夫」と戯れにパンチやキックをするように、コロナ禍における「自粛警察」や「マスク警察」もまた、相手の状況を尊重することなくやりたい放題なのである。

同調圧力チルドレンの状態と全く無縁な人などいない。人を正すことの正当性についての明確な線引きは難しいが、例えば信号無視を考えてみる。それを取り締まるのは警察の仕事であり私たちではない。

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要約公開日 2022.07.09
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