論破力

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論破力
出版社
朝日新聞出版

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出版日
2018年10月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

「会議で議論に負けて、理不尽な仕事が自分に振られた」「競合コンペで言い負かされてしまった」など、社内や取引先の人々を納得させられなくて、悔しい思いをした人も多いだろう。私たちは仕事だけでなく、プライベートでも、この人を説得したいと感じる場面に少なからず遭遇する。

なぜ相手を説得できないのだろうか。それは論破力が不足しているからなのかもしれない。相手を納得させられるかどうかは、実は「話し方」いかんにかかっている。

本書は、匿名掲示板「2ちゃんねる」の創設者で、「論破王」の異名を持つひろゆき氏が、難しい相手でも論破できるワザを紹介した一冊である。本書には、相手を説得するための、「ちょっと斜めからのテクニック」が満載だ。「そこまではちょっとやれない」と感じるものもあるかもしれないが、うまく使えば説得力のある話し方を身に付けられるはずである。知っているのと知らないのとでは、ピンチの切り抜け方が大きく変わってくるワザもある。心の余裕を生んでくれるものもあるし、単純に人と話すことが楽しくなるためのマインドを説くものもある。

いくら説得しても相手が自分の思い通りにならない、相手が自分の意見に反対し続けるといったことで悩んだ経験がある方は、一読してみてはいかがだろうか。絶対に負けられない場面を控えている人は、事前に読んでおくと心構えができるかもしれない。「論破力」を身に付けて、自身の豊かなアイデアや意見をどんどん通していこう。

ライター画像
木下隆志

著者

ひろゆき[西村博之](にしむら ひろゆき)
1976年、神奈川県生まれ。1999年にインターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年に「株式会社ニワンゴ」取締役管理人に就任し、2006年に「ニコニコ動画」を開始。2009年「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年に英語圈最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。主な著書に『無敵の思考』『働き方完全無双』(以上大和書房)、『ホリエモン×ひろゆき やっぱりヘンだよね』(堀江貴文との共著、集英社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    論破力は諸刃の剣である。人を論破するときには、論破したその先をまず想像する必要がある。
  • 要点
    2
    もっともらしく聞こえる意見よりも、事実の方が断然に強い。
  • 要点
    3
    「好き・嫌い」にまつわる主観的な議論は不毛である。しかし、その好き・嫌いの理由を考えることは大切である。
  • 要点
    4
    ジャッジという第三者がいない状況では議論しない。1対1の議論に持ち込まれると脇の甘さが露呈する。
  • 要点
    5
    いろんな相手とのキャッチボールを重ねて、人の思考パターンをどんどん集めていく。そうしていくと、議論しやすくなるだけでなく、人と話すこと自体が楽しくなる。

要約

【必読ポイント!】 議論とはゲームである

「論破したその先」をまず想像する

夫婦ゲンカでパートナーを、営業の場面で相手を、職場で上司を論破しても、プラスになるとは限らない。営業ならば相手からモノを買ってもらうことが目的である。相手を言い負かすことで、相手から「絶対に買わない」と思われてしまっては意味がない。上司を論破したことで転勤させられる人もいるだろう。

まず覚えておきたいのは、実生活において「論破力は諸刃の剣」であるということだ。そのため、論破力の取り扱いには注意しなければならない。論破力はあくまで人生をうまくいかせるための手段であり、論破したその先の人生まで想像しておく必要がある。

意見を言わずに事実を言う

著者は、自身の感情ベースではなくて事実ベースで話をすることが多い。「事実に対抗するのはものすごく難しい」からである。

たとえば、「犬は魚を食べますよね」と言ったときに、「いや、食べない」という反論を成立させることは困難である。犬が魚を食べるのは事実だ。そのシーンを動画で見せると言った時点で、ゲームオーバーとなる。

スポーツやゲームでも、とてつもなく難しいことをやろうとすれば人間は失敗するものだ。事実を覆すことは、これに似ている。

もっともらしく聞こえる意見よりも、事実の方が断然に強い。

「世界を思いどおりにしたい」時は
ajijchan/gettyimages

論理的に話し合う場面では、論理的に負けた方が敗北を認めざるをえない。だから、いきなり殴りかかってくるようなタイプではなく、「論理」という土俵で戦おうとする人は、実は説得しやすいのである。たとえ小学生であっても論理で勝てば、説得可能となるのだ。

論理という道具を使えば、自分がどんなに不利な状況でも何とかなるものである。自分のやりたいことを押し通したい時こそ、論理的な手段は有効となる。

「好き・嫌い」は論破できる?

「これが好き」「これは面白い」といった「個人の主観による評価や判断」に関しては、議論しても意味がないと著者は考えている。

「私が好きだから、こうなのです」という言い方はビジネスシーンでも多い。たとえば、デザインやネーミングは、「好き・嫌い」をベースにしたもので「これ」という答えが出せない。これらに対していくらがんばって手直しを加えても、100点満点になることはない。だから、そうした分野はなるべく人に任せたいと著者は書く。

しかし、会社の会議で商品デザインのA案とB案を選ぶ場面など、答えのない議論をしなくてはならないこともある。こういう時はシンプルに、統括的な立場の人に従うのも手だ。自身の好みはA案だったとしても、上の人がB案と決めたのなら、それ以上は無闇に反論しない。「好き・嫌い」には答えがないので、答えのないところでどれだけ戦っても、結局時間の無駄になってしまうかもしれない。それなら、責任ある人に任せるのが筋だ。

もちろん「好き・嫌い」と感じる理由はあるだろうし、それをはっきりさせておくことは望ましい。なぜ上司はB案を選んだのかを考えて、自分なりに仮説を立てて対策しておくことが大切である。

観客の心を揺さぶるテクニック

必ず「ジャッジ」をつける

テレビやネットでの討論番組と同じように、ビジネスシーンにおける議論の場でも、そのやりとりを見てジャッジする人がいる。意識すべきなのは、「目の前の相手と討論することよりも見ている人に自分をどうプレゼンするか」である。

ジャッジする人の基準を考慮して、その人たちに何を見せるべきかを考え、手持ちの「勝ちパターン」を順番に試して、議論に勝つことを目指す。

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要約公開日 2022.07.05
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