あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる

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あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる
出版社
出版日
2022年05月11日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

『あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる』。この印象的なタイトルに不思議と惹かれてしまうのは、現在の不安定な情勢の中でどこか不安を感じているからかもしれない。自分の力ではどうしようもない状況を前にすると、自分の無力さを痛感してしまう。本書は、そんなふうに自分の「弱さ」に打ちひしがれている人に安らぎを与えてくれる一冊だ。

ベストセラー『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』の著者としても知られる小澤竹俊さんが本書で描いたのは、人の弱さと強さについての真実だ。ホスピス医として多くの人の最期を看取ってきた著者は、病でそれまで持っていた「強さ」を手放した患者さんたちを目の当たりにしてきた。「自分は何もなく、弱い人間だ」と絶望していた患者さんたちは、家族・自分自身の誇りなど、大切なものに気づき、強さを得ていったという。

この真実は、たとえ人生の最期を身近に感じていなくとも、不安な状況を生きる私たちにも当てはまる。「生活が一変して、あまりにも自分が無力に思える」「多くを失い、これまで自分がしてきたことが無駄に思える」。そんなふうに弱ってしまった後、自分に残されたものを「これしかない」と嘆くのではなく、「私にはこれがある」ととらえ直して強みにする。その強みを育てていくことが、穏やかな気持ちで生きることにつながるのだろう。不安を抱えるすべての人に読んでもらいたい、セラピーのような一冊だ。

著者

小澤竹俊(おざわ たけとし)
1963年東京生まれ。87年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。
91年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、94年より横浜蘇生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。
2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに3800人以上の患者さんを看取ってきた。
医療者や介護士の人材育成のため、2015年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。一人でも多くの人が、生きてきてよかったと思える最期を迎えられるよう、力を尽くしている。著書『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』、『もしあと1年で人生が終わるとしたら?』(アスコム)がベストセラーとなる。

本書の要点

  • 要点
    1
    体力・財力・能力などのわかりやすい強さはいつか失われる。今まで通りに生きられなくなった弱い状態でこそ、本当の強さを手に入れることができる。
  • 要点
    2
    人は、自分をわかってくれる人を探している。それは、自分の話を丁寧に聴き、優先順位を尊重してくれる人のことである。
  • 要点
    3
    人生での苦しみには解決できるものと、そうでないものがある。前者は勇気を持って解決に取り組み、後者は静かに受け入れよう。

要約

【必読ポイント!】弱さを知ることで、本当の強さを知る

あなたの強さは、あなたの弱さから生まれる

本書のタイトルを見たとき、「自分は弱い」と感じている人は「自分のどこに強さがあるのか」と思い、「自分は強い」と感じている人は「自分は弱くなんかない」と思ったかもしれない。ここで著者が言う「強さ」は、「健康で体力があること」「財力・権力・地位があること」「才能や技術があること」といった、目に見える、わかりやすい強さのことではない。

こうした強さはいつか必ず失われる。この世で生きている以上、健康や体力、財力・権力などとは、必ず別れなければならないときがくる。すべてを失って「弱い」自分になったとき、多くの人は絶望する。ホスピス医として人生の最終段階を迎えた患者さんたちと関わり続けてきた著者によると、死を目前にしたとき、強かった人、多くを成し遂げてきた人の方が大きな苦しみを抱えることが多い。

「今はこんな体ですが、私はとても幸せです」
kazuma seki/gettyimages

そうした人たちは、本当に弱くなったわけではない。わかりやすい強さを失っただけだ。「弱くなったときにこそ、その人の本当の強さが現れる」と著者は考える。わかりやすい強さのほかに、弱さの中で見つかる強さ、弱さから生まれる強さもある。大事な人たちとの別れが迫り、自分でできることが限られていることを嘆いていた人の多くは、苦しみを味わう中で少しずつ変わっていく。

ある患者さんは高卒で銀行に入社し、「この世は弱肉強食だ」と、家族を顧みず、ときに非情な仕事ぶりで成績を上げ、大卒の同期よりも早く支店長になった。ところが、50歳すぎで治る見込みがない肺がんが発覚し、緩和ケアを受けることになった。「仕事ができない人間は銀行には入らない」と考えていたのに、仕事どころか日常生活を送るために人の助けが必要となってしまった。最初は周囲に怒りをぶつけていたが、献身的な介護を受けるうちに、

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要約公開日 2022.07.06
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