自分がいるのは当たり前、自分を大事にするのは当然だと考えている人がいる。しかし、その「自分」とは何だろうか。「体」であれば、細胞は3カ月もすれば、すべて入れ替わる。「心」が自分であるとしても、「昨日の心」と「今日の心」が同じだといえる根拠は、自分自身の「記憶」と「他人からの承認」だけである。それほど「自分」とは、脆いものなのだ。
名前や性格、家族などすべての属性を取り払ったときに、はたして何が残るのか。私たちは「この世に生まれたい」と希望して生まれてきたのではない。この世に「たまたま」生まれ、他人から「自分」にさせられたのだ。
人間の最大の欲求は、自分を「自分」にしてくれた存在である他人から、承認されたいということだ。だからこそ、むりやり「自分」にさせられた自分と折り合いをつけ、苦しさに立ち向かうのではなく、その状況を調整し、やり過ごしていくことが大切である。
生きること自体に意味などない。著者は2500年前に釈迦が残した「諸行無常」という言葉からそう学んだ。
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