生きていく上でお金は欠かせない存在である。「病気やケガなど万が一に備えたい」「老後の生活で困りたくない」「友だちやパートナーと楽しいひとときをすごしたい」など、自分らしい充実した人生を実現させてくれる「暮らしの道具」がお金である。
しかし、機能と扱い方を熟知しないままでは、せっかくの道具を十分に使いこなせない。しっかりと知っておけば有意義に活用できる。自分らしい人生の実現には「お金の活用力=金融リテラシー」をなるべく早く身に付けることが大切だ。
お金の役割は稼いで使うことだけではない。次の6つの機能がある。①稼ぐ、②納める、③貯める、④使う、⑤備える、⑥増やす、である。
現代においては、お金を得る時点で、働き方や仕事の成果による収入の差が大きくなっている。また、銀行預金の金利の低さ、年金給付水準の低下が懸念され、電子マネーの普及や仮想通貨の登場など、お金自体の形も変化している。
このような時代の変化に対応していくためにも、金融リテラシーがこれまで以上に重要になってくる。
貯蓄が多い人は金融資産を、自分の住宅や車を持っている人は実物資産を持っている。私たちが持つ資産にはこれら以外のものもある。それが、「まだ手に入れてはいないけれど、将来期待できる収入や貯蓄をする力」である「人的資本」だ。人的資本とは「これからお金を稼げる力」を指し、年齢、能力、立場などによってその大きさが違ってくる。
あなたの人的資本は何だろうか。TOEICスコア730点以上や日商簿記といった具体的な資格だけでなく、仕事を円滑に進められるコミュニケーション能力や病気をせず働ける身体などもひとつの要素になる。一度、自分の人的資本について棚卸ししてみよう。
年齢を重ねても収入に変化がなければ、人的資本は単純に「働ける残り時間」で決まってくる。経験を積むことで同じ仕事を短時間でできるようになる、信用を得て重要な仕事を任されるようになる、といったことで収入が増えれば、人的資本も増えたと言える。
若い時から、「人的資本を少しでも大きく、長く維持する方法」を考えることが大切だ。そのためにも、自分がこれからどれくらい稼げるかを予想しておくとよい。現役時代の平均年収から生涯賃金を割り出し、そこからどれくらい増やしたいか、どう増やせるかを考える。こうして収入の予測を立てておくと、ざっくりとした支出の判断もしやすい。
収入が月々に分かれて入ってくることを考えると、大きな支出のためには貯蓄が必要となる。
仕事を円滑に進めるためのPDCAサイクルは、お金という道具を活用する上でも役に立つ。この場合、Plan(計画)は「ライフプランを立てる・見直す」こと、Do(実行)は「働いて稼ぐ、使う、貯める」こと、Check(評価)は「計画的に貯まっているか」確認すること、そしてAction(改善)は「無駄な支出を減らすなどの対策」を指す。
3,400冊以上の要約が楽しめる