現代日本に生きる私たちに投資が必要な理由は、大きく分けて3つある。
1つ目は、会社員の平均給与(年収)が上がらないから。厚生労働白書によると、1989年の会社員の平均給与(年収)は約452万円。一方、2018年には約433万円と、約20万円も下がってしまっている。主要な欧米諸国と比べると、日本だけが実質賃金が下がっているというデータもある。
2つ目の理由は、超低金利だから。現在のメガバンクの一般的な定期預金金利は、わずか0.002%。預け入れた100万円が倍になるのは、なんと3万6000年後だ。
3つ目の理由は、インフレによって「お金が減る」から。長年デフレが続いてきた日本だが、直近では少しずつインフレ傾向になってきている。そのような状況においては、株式や不動産などといった、目減りしない資産を持つことが大切だ。
給料が上がらない、超低金利、インフレと聞くと、この時代にお金持ちになることはできないと思ってしまうかもしれない。だが野村総合研究所によると、純金融資産保有額が1億円以上〜5億円未満の「富裕層」は増加傾向にある。世帯数でいうと、2005年には81.3万世帯だったところ、2019年には124万世帯に“激増”している。これは全世帯の2%、つまり50世帯に1世帯は「富裕層」ということだ。
しかも、別のマネー雑誌のアンケート調査によると、「資産額1億円以上」のうち、4人に1人は年収500万円以下の会社員である。年収が500万円以下であっても、資産形成に励めば、「富裕層」に手が届かないわけではない。望むならばFIRE達成も可能だ。
今、世界中で「お金持ち」と「そうでない人」の二極化が進んでいる。
その理由を知らしめたのは、2014年に世界的なベストセラーとなった『21世紀の資本』(トマ・ピケティ)である。その中では「長期的にみると、資本収益率(r)は経済成長率(g)よりも大きい」ことが明らかにされている。言い換えると、「資本所得の伸び率は賃金の伸び率を上回る」ということ。もっと簡単に言うと、お金持ちはより裕福となり、労働でしか富を得られない人はいつまでも裕福になれないことを意味する。
FIREを達成する上で最も大切なのは「年収に対する貯蓄(投資)の割合=貯蓄率」である。「年収が高くないとFIREできない」と思っている人もいるかもしれないが、それは誤解だ。年収がどんなに高くても、貯蓄率が低ければ、FIREは達成できない。
投資リターンが年率5%だとすると、FIRE達成までの年数は以下のようになる。
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