著者が本書で伝える「ゆるFIRE」には、人の何倍も努力して稼いだり、何もかも我慢した節約生活をしたり、高リスク運用に手を出したりする極端な努力は必要ない。完全FIREの貯蓄率目標は年収比70~80%であるのに対し、ゆるFIREの貯蓄目標率は50%。
それでも大きな数値に見えるかもしれない。しかし、一人暮らしの平均生活費が年間約220万円、平均年収が433万円で手取りが330万円とすると、ちょっと努力して手取り360万円を稼ぎ、ちょっと節約して生活費を180万円に抑える。これで貯蓄率50%を達成できる。
本書では30代で資産形成を始めることをすすめているが、スタートはいくつからでも遅くない。収入がある内はいつでも始められる。定年前のセミリタイアは無理でも、「ゆるFIRE」のメソッドで築いた資産があれば、余裕のある老後が送れるはずだ。思い立ったら吉日。無理をせず、今よりちょっとだけ努力してみよう。
FIREとは、投資などの運用益で生活できるようにして早期リタイアすることだ。FIREの基本ルールの中に、年間の生活費を投資元本の4%に抑えられれば資産を減らさずに生活できる「4%ルール」という考え方がある。
ただし、これは米国の株式市場を元にした研究から発生した考え方で、そのまま日本に使えるかは一考を要する。比較的物価が安く、社会保障が充実している日本において、米国株の資産を保有していれば、米国で生活するよりリスクがかなり低い。半面、日本では長生きにより老後資金が増えるリスクがある。
また、毎年4%を取り崩すのはそれなりのストレスもある。そこで著者が提唱し、そして実際に実行しているのが、年に投資元本の2.5%を取り崩す「2.5%ルール」だ。
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