会議で意見を募っても、誰も発言してくれない。ミスを隠す部下がいる。役割分担がうまくいかず、チームの人間関係が崩壊。自分のグループだけ業績が低迷している――。こうした「ひと」と「チーム」の問題を解決するキーワードが「心理的安全性」だ。「心理的安全性」とは、おおまかに言えば「誰もが率直に、思ったことを言い合える」ことである。つまり、チームの目標や大切にしていることに向かって、健全な意見の衝突(ヘルシーコンフリクト)が起こせる状態を指している。
心理的安全性が確保されていると、「ミスをしてしまった」などといった言いにくいことも迅速に共有できたり、新しいことに挑戦しやすくなったりする。もちろん、結果としてチーム全体の成果も上がるだろう。
では、心理的安全性を確保するために何から手をつければいいのか。もっともシンプルで効果的な方法は、職場で使う言葉を変えることだ。大胆な改革もコストをかけた投資も必要ない。心理的安全性の高いチームは、日ごろ使う言葉を変えるだけでつくれる。
著者がシニアコンサルタントを務めるZENTechは、独自の検証に基づき、心理的安全性を高めるために重要な4つの因子を見出した。それは「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」だ。
「話しやすさ」因子とは、さまざまな情報を臆せず共有できることだ。話しやすさ因子があるチームでは、言いにくいけれど仕事を前に進める上で大切なことが臆せず発言され、共有される。
「助け合い」因子は、お互いに助け合える環境のことだ。リーダーや同僚と気軽に相談でき、ミスやトラブルの解決・改善に向けて建設的な対話ができる状態であれば、この因子があると言っていいだろう。
「挑戦」因子は、結果にかかわらず、挑戦を歓迎できる環境を意味する。挑戦因子が高いと、アイデアや企画が生まれやすくなる。
「新奇歓迎」因子は、社会や業界の常識にとらわれず、メンバー一人ひとりの強みや個性、新しい視点、発想を受け入れる環境のことだ。新奇歓迎因子のある環境では、一見まとはずれなアイデアも歓迎される。
あなたのチームでは、これら4つの因子がそろっているだろうか。ここからは、それぞれの因子を強め、心理的安全性を保つフレーズを紹介する。
会議で「なんでもいいのでどんどん意見を出してください」と投げかけるだけでは、話しやすさ因子は向上しない。話しやすい場をつくりたいなら、リーダーが会議の冒頭で「この場の心理的安全性は、私が担保します」と宣言しよう。
ポイントは、繰り返すことだ。行動の継続を通じて、リーダーの本気はメンバーに伝わる。オフィスや会議室の壁に「心理的安全性」と書いた紙を貼るなどして、心理的安全性の重要性を浸透させるのも効果的だ。
会議で「当てていくので、ひとり1アイデア話してね」と言っても、全員が活発にアイデアを出す場にはなりにくい。
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