あなたは、自分のプレゼンテーションを、ビデオに撮って見たことはあるだろうか。もしないなら、今すぐやろう。まずは自分のプレゼンテーションの「つまらなさ」を知ることから始まる。
著者の原体験もそこにある。外資系コンサルティング会社であるボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)に入って3年目、数十名への報告会を数日後に控えたある日、プロジェクト・マネジャーUさんから「お前、ちょっとプレゼンやってみろ」と言われた。著者が話す様子はビデオで撮影され、その場で再生された。
そこには、たどたどしく話す、自信なさげなコンサルタントがいた。話し方は一本調子で抑揚がない。見ていて悲しくなるほどつまらないプレゼンテーションだ。
Uさんはお手本を見せてくれた。同じ資料を使っているのに、インパクトがまったく違う。衝撃だった。
著者は自宅に帰り、お手本の「丸ごとコピー(ものまね)」を試みた。Uさんのビデオを何回も見て、彼の言い回しをすべて書き取ってまねる。冒頭の入り方、ページ毎の台詞、途中の間の取り方まですべてコピーした。練習をビデオに撮って、それをイヤイヤ見てがっかりし、また練習。その繰り返しだ。
暗記していても、緊張すると頭の中が真っ白になってしまうかもしれない――。そう考え、セリフをすべて書き出した「カンニングペーパー」まで用意した。コンサルタント人生最初の大舞台は、そうやって乗り切った。
初心者がまず目指すべきは基本レベル、少人数向けの小プレゼンテーションがこなせるレベルだ。同じ部署のメンバーや見知ったお客さんを相手にした、20分程度、スライド数10枚ほどのプレゼンテーションである。とにかく「簡潔にわかりやすく」を徹底し、セリフにちょっとだけ抑揚をつけること。これを目標にしたい。
トークはまだまだなので、プレゼンテーションスライドに力を入れよう。見て聴いてわかりやすい、シンプルでメリハリのついた資料をつくれるかどうかが勝負となる。ポイントは4つある。
1つ目は、まずは伝えたい内容を書き出してみること。アウトライン機能(テキスト同士に親子関係をつくれる機能)を使いこなして、メッセージの構造を明確にする。
2つ目は、1文は短く、30字以内を目指すこと。「ワンスライド・ワンメッセージ」を厳守する。
3つ目は、色や動きは使いすぎないこと。役割を決めて、それぞれ3種類程度に抑える。
4つ目は、全体の流れを示すマップをつくること。中核となるインパクトあるスライドも1枚用意する。
4つのポイントを押さえてわかりやすい資料ができたら、トークは原稿の丸覚えでもかまわない。上級者に資料やトークを添削してもらい、「自分ならこうする」のお手本を見せてもらえるとなおよい。それを完コピしよう。
基本編のステップ1は、徹底的に「わかりやすい資料」をつくること。トークに自信がないなら、資料をスクリーンに映してただ読み上げる「マネキン大作戦」でもかまわない。だからこそ、相手が「聴いてわかる」資料をつくることが重要だ。
「聴いてわかる」資料にするために、パワーポイントやMSワードの「アウトライン機能」を活用しよう。この機能を使って、レベル1はスライドの題名、レベル2はその下のメインボディ、レベル3はそのサブといった具合で、言いたいことの階層を整理する。
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