上司に力強さはいらないと言われる時代において、部下は上司に何を期待しているのだろうか。
リクルートマネージメントソリューションズ社の「2021年 新入社員意識調査」によると、この10年で上司に期待することが大きく変わっているという。トップ2は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」である。しかも、これら2つはこの10年で大きく数字を伸ばしている。
次に、この10年でランキングを大きく落としている要素は何だろうか。それは「言うべきことは言い、厳しく指導すること」「仕事に情熱を持って取り組むこと」「周囲を引っ張るリーダーシップ」である。もちろん、リーダーに厳しさや力強さが不要になったわけではない。とりわけZ世代は、本当の意味での力強さや厳しさをよく知らないだけだ。彼らの思いに関心を寄せ、話を聞いた上で、しっかりと言うべきことを言う。そのスタンスが重要となる。
価値観や生活スタイルが多様化する今、あらゆる年代の部下に対して、一人ひとりに耳を傾ける姿勢は欠かせないものとなっている。
上司が聞くことは大事であるが、ダメな聞き方もある。「ダメな聞き方とは、なんだと思いますか?」
まさにこれが、やってはいけない「相手を試す」質問だ。一見そんなに悪い質問ではないように見える。しかし、人によっては自尊心を踏みにじられ、嫌な気分を味わうことになる。
試す質問をしがちな上司は、あくまで「正解は持論」を前提としている。「どの方法がいいと思う?」と聞き、部下が「この方法です」と回答しても、そんな上司は「誰かに任したら?」などと自身の持論を展開してしまう。このように、「質問→正解/不正解」のスタイルで上から目線で聞く上司は、部下に嫌われてしまう。
これに対し、教え上手な上司は「正解は部下」が前提だ。「どんな作業で忙しいの?」「そうか。ちなみに何があると解決できそう?」などと、「教わる」スタンスで部下に尋ねる。よかれと思って試す質問をしていないか気を配るようにしたい。
部下から次のような発言があったとしよう。「うちのカブトムシが死んだので、今日は休ませてください」
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