トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術
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出版社
日本実業出版社

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出版日
2022年10月01日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

脳に汗をかくほど「考え抜く」ことができている人は、きっと多くない。メールやチャットで素早くやり取りし、数秒単位での意思決定を繰り返して日々の業務を進めることが、オフィスワーカーの最優先事項だからだ。「なぜこの仕事をする必要があるのか?」と、一つひとつの仕事の意味を問う人は、周囲から「現実を見てよ」とため息をつかれるのがオチだ。

一方で、「考えが浅くない?」「もっとよく考えて」などと言われてしまうこともあるだろう。時間があれば「そもそも考えるとは何なのか?」を研究するのもいいが、多くのビジネスパーソンにそんな時間はない。

そこで手に取ってほしいのが本書である。本書には、「考え抜く」と「やり抜く」の両方を高レベルで実現しなければならない人のためのエッセンスがまとめられている。著者は『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』などで知られる浅田すぐる氏だ。浅田氏は、トヨタ時代のエピソードを紹介しながら、社会人教育のプロフェッショナルとしての経験も交え、「紙1枚」で問題を解決するフレームワークを提供してくれる。

本書の特徴は、著者自身が「映画のストーリー進行のよう」と表現する、書籍全体の構造だ。あなたにも、すべての内容がつながり、「そういうことだったのか!」と感動するタイミングがあるはずだ。

まずは、トヨタパーソンが繰り返し学び、実践するという「TBP」を学ぶことから始めよう。「考え抜く力=やり抜く力」習得への第一歩を踏み出せるはずだ。

ライター画像
Keisuke Yasuda

著者

浅田すぐる(あさだ すぐる)
「1枚」ワークス株式会社代表取締役。「1枚」アカデミア・プリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。作家・社会人教育のプロフェッショナル。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車株式会社入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、株式会社グロービスへの転職を経て、独立。現在は社会人教育のフィールドで、ビジネスパーソンの学習を支援。研修・講演・独自開講のスクール等、累計受講者数は10000名以上。大企業・中小企業問わず、登壇実績多数。2017年には海外(中国・広州)登壇、2018年にはルーツであるトヨタとパナソニック合同の管理職研修への登壇も実現。2015年からは、作家としてのキャリアもスタート。デビュー作『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(サンマーク出版)は年間ビジネス書ランキング4位、海外5カ国翻訳のベストセラー・ロングセラーに。これまでに10冊(文庫化2冊含む)を上梓し著者累計は50万部超。独立当初から配信し続けているメールマガジンは通算1000号以上。読者数20000人超。

本書の要点

  • 要点
    1
    トヨタでは問題解決の8STEPをTBP(Toyota Business Practice)として言語化している。STEP1から5はPDCAの「P」にあたる、「拡げる思考」と「絞る思考」を繰り返すフェーズだ。
  • 要点
    2
    トヨタには文書を「紙1枚」にまとめる文化がある。「紙1枚」という制約を課すことで、考え抜く力が身につく。
  • 要点
    3
    考え抜く力を高めたいなら、32マスの「紙1枚」を使ったフレームワークがおすすめだ。この紙に、考えたい事項における「問題」「原因」「対策」を複数書き出し、「貢献度」「難易度」「鮮度」の軸で「対策」を絞り込んでいく。

要約

問題解決の本質

「トヨタ・ビジネス・プラクティス(TBP)」とは?

著者がトヨタに入社したとき、1カ月間、座学での集合研修があった。研修の主なテーマは「Toyota Business Practice(TBP)」だ。

TBPは「トヨタにおける仕事の実践、業務の進め方」を意味し、8つのSTEPで構成されている。

STEP1:問題を明確に定義する

STEP2:問題を分析し、分解する

STEP3:改善の目標を設定する

STEP4:真因を分析する

STEP5:対策を立てる

STEP6:対策を実行し、最後まで見届ける

STEP7:結果とプロセスの両方をよく見る

STEP8:うまくいったプロセスを標準化する

要するにTBPは問題解決のプロセスだ。すなわち、トヨタにおける仕事とは問題解決のことだといえる。

トヨタに籍を置いている間、著者はこの8STEPを繰り返し学び、実践することとなった。問題解決力は、ずっと磨き続けるべきビジネススキルのセンターピンなのだ。

「TBP」と「PDCA」の関係

TBPのSTEP1から5、つまり「問題を明確に定義する」「問題を分析し、分解する」「改善の目標を設定する」「真因を分析する」「対策を立てる」は、PDCAサイクルのP(PLAN)にあたる。同様に「対策を実行し、最後まで見届ける」はDO、「結果とプロセスの両方をよく見る」はCHECK、「うまくいったプロセスを標準化する」はACTIONに対応している。STEP1から5のポイントを簡単に紹介しよう。

まずはSTEP1「問題を明確に定義する」。TBPでは、問題を「あるべき姿と現状のギャップ」と定義する。あるべき姿が思い浮かばない場合は、2つ上の役職、つまり課長や部長の立場で考えてみると答えが得られるかもしれない。

STEP2の「問題を分析し、分解する」では、定義した問題を具体化していく。「メンバーの平均残業時間を30時間から10時間以内に削減する」という問題があるなら、「人軸」「時間軸」「空間軸」の3つの軸で分解してみよう。「突出して残業の多い人が3人いる」「毎月初旬に残業が多い」「業務フローのうち、負荷の重いタスクがある」などと、問題の所在が見えてくる。

STEP3の「改善の目標を設定する」では、「何をもって解決とするか」を決める。STEP2で問題の具体化ができていれば、改善目標は自ずと定まるはずだ。

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要約公開日 2022.11.09
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