著者がトヨタに入社したとき、1カ月間、座学での集合研修があった。研修の主なテーマは「Toyota Business Practice(TBP)」だ。
TBPは「トヨタにおける仕事の実践、業務の進め方」を意味し、8つのSTEPで構成されている。
STEP1:問題を明確に定義する
STEP2:問題を分析し、分解する
STEP3:改善の目標を設定する
STEP4:真因を分析する
STEP5:対策を立てる
STEP6:対策を実行し、最後まで見届ける
STEP7:結果とプロセスの両方をよく見る
STEP8:うまくいったプロセスを標準化する
要するにTBPは問題解決のプロセスだ。すなわち、トヨタにおける仕事とは問題解決のことだといえる。
トヨタに籍を置いている間、著者はこの8STEPを繰り返し学び、実践することとなった。問題解決力は、ずっと磨き続けるべきビジネススキルのセンターピンなのだ。
TBPのSTEP1から5、つまり「問題を明確に定義する」「問題を分析し、分解する」「改善の目標を設定する」「真因を分析する」「対策を立てる」は、PDCAサイクルのP(PLAN)にあたる。同様に「対策を実行し、最後まで見届ける」はDO、「結果とプロセスの両方をよく見る」はCHECK、「うまくいったプロセスを標準化する」はACTIONに対応している。STEP1から5のポイントを簡単に紹介しよう。
まずはSTEP1「問題を明確に定義する」。TBPでは、問題を「あるべき姿と現状のギャップ」と定義する。あるべき姿が思い浮かばない場合は、2つ上の役職、つまり課長や部長の立場で考えてみると答えが得られるかもしれない。
STEP2の「問題を分析し、分解する」では、定義した問題を具体化していく。「メンバーの平均残業時間を30時間から10時間以内に削減する」という問題があるなら、「人軸」「時間軸」「空間軸」の3つの軸で分解してみよう。「突出して残業の多い人が3人いる」「毎月初旬に残業が多い」「業務フローのうち、負荷の重いタスクがある」などと、問題の所在が見えてくる。
STEP3の「改善の目標を設定する」では、「何をもって解決とするか」を決める。STEP2で問題の具体化ができていれば、改善目標は自ずと定まるはずだ。
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