人はストレスを受けると、心身に変調があらわれる。心理面では気分の落ち込みや孤独感、うつ病、健忘症、摂食障害など、身体面では胃痛や胃潰瘍、片頭痛、気管支喘息などが起こりうる。それと同時に、怒りっぽくなったり飲酒量が急増したりすることもある。
ストレスに対する耐性には個人差があるが、「あまり気にならない」という人が最も危険だと著者は指摘する。本当にストレスを感じていない人もいるだろうが、大多数は「ストレスを感じていることに気づいていない」のではないだろうか。
注意したいのは、複数のストレスが同時に生まれたときだ。「仕事が忙しくなって、家族との関係がギクシャクし始めた」「離婚することになり、引っ越しを余儀なくされた」などの場合である。
複数のストレスが一度にのしかかって限界を超えると、心や体が「ストレス反応」を起こして変調をきたす。頭痛や腹痛、めまいなどで病院に行っても、原因がわからないことが多い。また、悲しくもないのに涙が出たり、寝付きが悪くなったり、仕事のミスが続いたりすることもある。
ストレス反応が見られたら、適度に休んで自分をいたわってほしい。ストレスは「モンスター化」する前に対処をしなければならない。
ストレスにうまく対処して発散する方法を、「ストレス・コーピング」と呼ぶ。コーピングは「状況を操作しようとする反応」という意味である。
代表的なストレス・コーピングには2種類ある。
1つ目は、問題終点型コーピング(プライマリー・コントロール)である。これは、ストレスの原因となっている出来事を変化させ、ストレスを解消しようとする対応だ。例としては「転職をする」「友人や恋人と別れて、新しい人たちとつき合い始める」などである。この方法は効果が高いものの、実行が難しいという難点がある。
3,400冊以上の要約が楽しめる