周りの様子を察し、いち早く気付くことができる。その場の空気をまとめるように行動し、こじれる可能性があれば言いたいことでも口をつぐむ。相手の行動を先読みしてサポートできる。そんなお察し能力が高い人がいれば、周りは心地よく過ごせるはずだ。
しかし、当の「お察し上手」な人は、自分自身を苦しめることになる。
たとえば、著者のクライアントの「お察し上手」な女性は、書類の整理が苦手な専務の秘書だ。彼女は、優先順位を考えて書類を整理し、そのおかげで専務は、順調に仕事ができていた。しかし、専務はそれを自分のマネジメント能力だと思い込んでいたのだ。
あるとき、専務が重要な書類を失くしてしまった。それを、彼女がデスクの整理をしたせいだと責めたのだ。結果的に書類は専務の自宅で見つかり、彼女のミスではないことがはっきりしたものの、専務から謝罪はなく、彼女のモチベーションが大きく下がる結果になった。
このような事例を「仕方がない」とあきらめてはいないだろうか。「お察し上手」は素晴らしい長所だ。それを生かしながら、疲れずに楽しく過ごすコツを紹介しよう。
プロの棋士の対局並みに「お察し上手」の人は、人間関係をずっと先まで読んでいる。違うのは、将棋にはルールがあっても、人間関係にはルールも答えもないことだ。人間関係は、先の手を考えるほどに予想される相手の行動が増えていく。考えれば考えるほど相手のことを考える羽目になり、がんじがらめになってしまうのだ。
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