仕事は大変なものだ。想定外のことが発生したり、上司に叱られたり、部下がなかなか指示通りに動かなかったり。対人関係をとっても、苦手な人と折り合いをつけなければならず、やりたくない仕事をやらざるを得ないときも少なくない。
派遣社員として働くYさんも、仕事を大変に感じる1人だ。仕事が増えたり、残業しなければならなくなったり、クレームが入ってきたりすると「なんだか違う」と感じ、仕事をやめてしまうという。Yさんはこれまで、複数の職場を渡り歩き、3カ月前に現在の職場に入社。現職でも、歳が離れた先輩に注意されることが多く、苦痛に感じ始めている。そんなYさんに、著者は「仕事なんてつらくて当たり前。だからこそ、対価として給料がもらえるのだ」と言葉をかけた。すると、Yさんは「転職した際はすぐにやめるつもりがないのに、しばらくするといろいろ出てきてストレスになるのがイヤ」と答えた。
著者は、Yさんの考え方に対して、「常にストレスのない仕事を求めて転職を繰り返すことになってしまう」と指摘する。高いところから低いところへ流れることは簡単だが、最終的には淀んだ水溜まりにたどりつくことしかできない。そして、その水溜まりもいつかは干上がる。ストレスやつらいことから逃げるだけでは、それらに立ち向かうスキルが身につかず、最後には行き詰まりを迎える。そうなれば、もともと持っていたはずの能力すら失われてしまう。
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