ある人が幸せな人生を送れたのはなぜか――。それを研究で突き止めようとしたとき、被験者の選択とその結果をすべて把握するのは不可能だ。細部の記憶は時間の経過とともに失われるし、捏造さえ起こりうるからである。
だが、被験者の人生を継続的に観察できたらどうだろうか? 被験者の健康や幸福にとっていちばん重要だった物事、人生において最も有益だった投資を、その人が亡くなるまでずっと研究できるとしたら?
それを実践したのが、本書の著者らが携わる「ハーバード成人発達研究」だ。ハーバード成人発達研究は1938年に始まり、今でも被験者の人生の変遷を記録し続けている。
研究チームは、本人や家族への質問票に加え、脳スキャンや血液検査、被験者が話す様子を撮影した動画の分析などを通して、被験者の健康状態や幸福度を精査していく。被験者には2年ごとに長い質問票を送り、5年ごとにかかりつけ医から詳細な健康データを入手し、15年ごとに直接会って対面調査を行う。
本書には、ハーバード成人発達研究で得られた示唆に加え、世界各地で行われてきた数百件の科学研究や古今東西の叡智も盛り込んだ。
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