理念経営2.0

会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ
未読
理念経営2.0
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会社の「理想と戦略」をつなぐ7つのステップ
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理念経営2.0
出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2023年05月16日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

「理念」という言葉に、多少古めかしさを感じる人もいるかもしれない。しかし、この「理念」こそが現代の会社組織に必要であると本書は説く。

なぜいま「理念」なのだろうか。これまでは業績がよければそれでよしとされていた。しかしいまは企業も「社会善」を求められるうえ、従業員のバックグラウンドや働き方は多様化している。フリーランスも増えるなか、あらためて「わざわざ会社で働く意味はなんなのか」を突きつけられる経営者は少なくない。実際、給料も労働環境も悪くないのに、離職する若い世代は増えている。

そこで登場するのが「理念」である。どの企業にも理念はすでに存在しているだろうが、それらは創業者や社長がトップダウンで決めたものであるはずだ。本書が提案するのは、社員みんなに問いかけながら、どんどんアップデートしていく「あたらしい企業理念」である。企業を渡り鳥の群れにたとえるなら、「理念」は群れの目的地であり、鳥たちを群れの中心に引きつける存在であり、個々の距離を適切にとる感覚である。

本書の著者は『直感と論理をつなぐ思考法』『模倣と創造』などのベストセラーをもつ佐宗邦威氏だ。自身も戦略デザインファームを起業・運営している立場から、新時代の経営に必要不可欠な「理念経営2.0」を提案している。本要約では、「理念経営2.0」に必要な7つのステップから4つを抜粋して紹介する。

経営者はもちろん、会社との関わり方や働き方を模索する、すべてのビジネスパーソンにお読みいただきたい。

著者

佐宗邦威(さそう くにたけ)
株式会社BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー
多摩美術大学 特任准教授
東京大学法学部卒業、イリノイ工科大学デザイン研究科(Master of Design Methods)修了。P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務める。その後、ソニーに入社。同クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。
ソニー退社後、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を創業。山本山、ソニー、パナソニック、オムロン、NHKエデュケーショナル、クックパッド、NTTドコモ、東急電鉄、日本サッカー協会、KINTO、ALE、クロスフィールズ、白馬村など、
バラエティ豊かな企業・組織のイノベーションおよびブランディングの支援を行うほか、各社の企業理念の策定および実装に向けたプロジェクトについても実績多数。
著書に、ベストセラーとなった『直感と論理をつなぐ思考法』(ダイヤモンド社)のほか、『世界のトップデザインスクールが教える デザイン思考の授業』(日経ビジネス人文庫)、『模倣と創造』(PHP研究所)など、論文に「組織の『存在意義』をデザインする」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部『PURPOSE――会社は何のために存在するのか あなたはなぜそこで働くのか』ダイヤモンド社 所収)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    これからの企業には、組織の存在意義を言語化し、未来への推進力となる「理念」が必要だ。「理念」は社員と一緒につくり出し、アップデートし続けることが望ましい。
  • 要点
    2
    企業理念を構成する要素は、「ビジョン」「バリュー」「ミッション/パーパス」「ナラティブ」「ヒストリー」「カルチャー」「エコシステム」の7つである。
  • 要点
    3
    企業の意思決定の基準となる「ミッション/パーパス」。これらを明確にすることで、社員一人ひとりが自律的な判断をすることができるようになる。

要約

【必読ポイント!】理念経営2.0

働きやすいのに辞めていく社員たち

ある日、著者のもとに経営者が相談に訪れた。なんでも彼の会社では、「会社で働く意義を感じられない」と突然辞める社員が増えているのだという。コロナ禍でも売り上げは好調で、働きやすさにも配慮している。それなのになぜ社員は辞めていくのだろう。

コロナ禍に入り、多くの会社でリモートワークが導入された。物理的に離れて仕事をするようになると、このような問いが生まれてくる。「わざわざ会社という群れで働く意味はなんだろう? 一人でも仕事はできるのではないか」。著者の会社でも、この時期に主要なメンバーが次々と会社を離れていった。著者は「この会社は必要なのだろうか」と追い詰められ、廃業すら考えるようになった。

そこで著者は「企業理念づくり」に着手した。残ったメンバーたちと対話を重ねながら、自分たちの理念や組織の存在意義を言語化したのである。その一連の作業を通して、著者はこれからの時代に必要な「あたらしい理念経営」のあり方、すなわち「理念経営2.0」にたどりついた。

企業は「意義を生み出す場」に
maroke/gettyimages

今までは儲けさえしていれば企業は生存することができた。しかし今は「社会にとっていいことをしているか」が問われる時代だ。事業の社会的意義を示せない会社は、存続が難しくなっている。

働く人の意識も変わってきている。特に20代~30代は給料の額よりも仕事に「意義」を求める人が増えている。会社は近い将来「利益を生み出す場」から「意義を生み出す場」にシフトしていくだろう。社員が貢献したいと思うような会社になるには、会社と社員個人の理念が重なり合う必要がある。

従来の経営スタイルは、社長の価値観や理念を一方的に植えつける「理念経営1.0」が主流だったが、これからの企業理念は「みんなの物語」がベースとなる。「みんなの価値創造の物語を生むためのソース」として企業理念を位置づけるあり方が「理念経営2.0」なのである。

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要約公開日 2023.08.24
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