仕事の思想

なぜ我々は働くのか
未読
仕事の思想
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なぜ我々は働くのか
未読
仕事の思想
出版社
出版日
2003年09月17日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「なぜ我々は働くのか」――これが本書の副題であり、テーマである。さて、あなたは何のために働いているのか。その問いを頭に置いたまま、本書を読み進めてほしい。

本書の初版が世に出たのは1999年。今から20年以上前のことだ。その頃の日本は、有効求人倍率は0.48倍、若年失業率は9.1%にまで落ち込んでいた。失業率が増加し、「就職氷河期」と称された苦しい時代の真っただ中である。本書はそんな、大きな不安が漂っていた時代に出版された一冊である。

著者の田坂広志氏は民間企業で活躍した後、シンクタンクの設立、多摩大学大学院教授などを経て、社会変革に長年携わってきた。多くの経営者やリーダーが学ぶ「田坂塾」塾長や、新たな社会システムの創出を目指すシンクタンク「ソフィアバンク」の代表としても活躍している。本書は著者が選んだ10のキーワードを軸に、「仕事の思想」について考えていく構成となっている。

本書と向き合っている間、要約者の脳内では、著者が真っ直ぐに投げかける「なぜ我々は働くのか」との問いが終始こだましていた。そして思想、成長、目標、顧客、共感、格闘、地位、友人、仲間、未来という10のキーワードから、自分の中にある答えを探っていくことができた。

「なぜ我々は働くのか」。本書を読み終えたとき、あなたはこの問いにどう答えるだろうか。時を越えて読み継がれるロングセラーをじっくり味わって、ぜひあなたなりの答えを出してみてほしい。

著者

田坂広志(たさか ひろし)
1951年生まれ。1974年、東京大学工学部卒業。1981年、東京大学大学院修了。工学博士(原子力工学)。同年、民間企業入社。1987年、米国シンクタンク、バテル記念研究所客員研究員。同年、米国パシフィック・ノースウェスト国立研究所客員研究員。
1990年、日本総合研究所の設立に参画。10年間に、延べ702社とともに、20の異業種コンソーシアムを設立。ベンチャー企業育成と新事業開発を通じて民間主導による新産業創造に取り組む。取締役・創発戦略センター所長等を歴任。現在、同研究所フェロー。
2000年、多摩大学大学院教授に就任。社会起業家論を開講。現名誉教授。
同年、21世紀の知のパラダイム転換をめざすシンクタンク・ソフィアバンクを設立。代表に就任。
2005年、米国ジャパン・ソサエティにより、日米イノベーターに選ばれる。
2008年、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムのGlobal Agenda Councilのメンバーに就任。
2009年より、TEDメンバーとして、毎年、TED会議に出席。
2010年、ダライ・ラマ法王14世、デズモンド・ツツ元大主教、ムハマド・ユヌス博士、ミハイル・ゴルバチョフ元大統領ら、4人のノーベル平和賞受賞者が名誉会員を務める世界賢人会議・ブダペストクラブの日本代表に就任。
2011年、東日本大震災と福島原発事故に伴い、内閣官房参与に就任。
2013年、思想、ビジョン、志、戦略、戦術、技術、人間力という「7つの知性」を垂直統合した「21世紀の変革リーダー」への成長をめざす場、「田坂塾」を開塾。現在、全国から7800名を超える経営者やリーダーが集まっている。
2021年、田坂広志の過去の著作や著書、講演や講話をアーカイブした「田坂塾大学」を開学。広く一般に公開している。2023年、学校法人21世紀アカデメイアの学長に就任。著書は、国内外で100冊余。海外でも旺盛な出版・講演活動を行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    「なぜ我々は働くのか」という「仕事の思想」は、働く上での錨となる。確固たる思想があればこそ、厳しい現実にも立ち向かっていける。
  • 要点
    2
    仕事をする上で最高の報酬は「人間としての成長」だ。仕事に本気で取り組むうち、仕事の報酬は、給料→能力→仕事→成長と移り変わっていく。
  • 要点
    3
    仕事の最高の報酬である「成長」を手に入れるためには、「夢」を語り、「目標」を定めることが不可欠だ。大きな夢を堂々と語り、自分を追い込んで、難しい課題にあえて挑戦してほしい。

要約

思想

なぜ、仕事に思想が必要なのか

私たちは、仕事で困難に直面したり苦労したりすると、もっと楽な仕事はないだろうかと考えてしまうものだ。その考えにとらわれているとき、仕事は「パンを得るための手段」にすぎない。どうせパンを得るための手段なら、楽なほうがいいと考えてしまうのだ。

しかし、「食べていくために働く」という「仕事の思想」が、私たちから「仕事の喜び」を奪ってはいないだろうか。生活のために働くという感覚は、人生を味気ないものにしてしまう。

また、巷には、仕事について「サバイバル」「生き残る」という言葉を使って語る本や雑誌特集も多くみられる。現代のビジネスパーソンは「どうやったらサバイバルできるか」「どうすれば生き残れるか」ばかりが気になるようだ。

だが、私たちが一生懸命に仕事をするのは決して「食べていくため」でも「生き残るため」でもない。もっと素晴らしい目的があるはずだ。

働く目的を見出し、よりよく働くためには、深みある「仕事の思想」が必要だ。「仕事の思想」は、仕事をする上での「錨」となる。錨があればこそ、どんな荒波に揉まれようと、決して流されることなく立ち向かえるのだ。

現代日本の「仕事の思想」
maroke/gettyimages

心理学者のエイブラハム・マズローが考案した「欲求の五段階説」によると、人間は欲求の段階を一つずつ実現しながら上がっていく。まずは「生存の欲求」、次に「安全の欲求」だ。生存と安全が保障されてはじめて、「帰属の欲求」「尊敬の欲求」「自己実現の欲求」へと向かっていける。

残念ながら、「生活の糧を得るために働く」「生き残るために働く」現代日本は、いまだに「生存の欲求」「安全の欲求」の段階にとどまっていると言えるだろう。

では、我々はなぜ働くのか。本書ではこの問いの答えを模索しながら、深みある「仕事の思想」を探し求めていく。

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要約公開日 2023.09.07
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