誰でも成長することはできる。そのためには自分を知る必要がある。「どんな自分になりたいか」を考え、行動を積み重ねていくことで、思い描いた自分になれる。
将来の自分を思い浮かべるのは簡単なことではない。それは、考えるための土台が整っていないためである。土台とは「自律」である。
著者の考える自律とは、「自分で考え、判断し、行動すること」。これは大人にも難しい。その理由として、人間の脳には次の2つの特徴がある。
1つ目に、脳が意識できる情報は、入ってくる情報量の1000分の1しかない。そのせいで、注意を向けたこと以外の情報を意識できなくなってしまう。
2つ目に、脳はポジティブな情報よりネガティブな情報に反応しやすい。人間は自分の身を守るため、ものごとを否定的に見やすい。
これらの特徴により、新しいことにチャレンジしたくても、失敗を恐れてなかなか行動できないというパターンが定着してしまう。無意識の行動パターンから抜け出すためには、ネガティブになっている自分を客観的に知り、ポジティブで具体的な行動につながる「しくみ」をつくっていくことが大切である。
「コーピング力」とは、解決の糸口が見えないような大きな壁にぶつかったとき、そのストレスやネガティブな感情に対してうまく対処する能力のことを指す。心理学によると、コーピングが上手な人の行動パターンとして2つ挙げられる。1つは、「積極的に問題を解決しようとする」。もう1つは、「人に相談してみる」。
コーピングが上手な人は、まず悩みの原因を、自分で解決できそうか、できそうにないか、という視点で整理してみる。解決できそうなら行動を起こし、解決できそうになければ「解決方法そのものを教えてくれそうな人」を選んで相談する。
一人で悩んで耐えていても状況は変わらない。行動が、「なりたい自分」に近づけてくれるのである。
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