本格的なAI時代が到来した。AIとは、「Artificial Intelligence」の略語である。「Intelligence」の語源は、ラテン語の「inter(~の間)」と「lego(何かを集める)」が組み合わさったものだ。日本語では「知能」や「知性」と訳される。著者は、この2つの違いを理解することが脳の働きを知るうえで重要だとしている。
知能とは、「明白な答えがある問いに対して、素早く適切な答えを導く能力」である。たとえばAIの活用領域としては、音声認識や自動翻訳などが該当する。演算速度の向上や大規模言語モデルの登場によって、人間の能力を上回る人工知能が実現する期待も高まっている。一方、知性は「明確な答えがない問いに対して、その答えを探究する能力」を指す。こちらは現段階で人間だけが持つ領域といえる。人間は、AI時代に起きることを直感的に予測し、知能よりも知性を磨くことのほうに意識を向かわせている。
人間はもともと、他の動物と同じ暮らしをしてきた。その後、情報の質や量が膨大になるにつれ、言語能力の獲得や文字の発明・普及、印刷技術やデジタル技術の発達により、情報の伝達や生成を増やしていった。こうした流れの中で、あふれる情報を正しく活用するために、脳の新たなモードを開発し、アップグレードを続けてきた。
著者はこれまで人間が開発し習得してきたモードを、それぞれ「運動」「睡眠」「瞑想」「対話」「読書」「デジタル」の6つに分けている。6つのモードを理解し、正しく鍛えることによって、人間はより善く生きることができる。
脳の基本的な能力を鍛えるのが「運動モード」だ。
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