BRAIN WORKOUT ブレイン・ワークアウト
BRAIN WORKOUT ブレイン・ワークアウト
人工知能(AI)と共存するための人間知性(HI)の鍛え方
BRAIN WORKOUT ブレイン・ワークアウト
出版社
出版日
2023年06月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

人間の身体は、狩猟採集民族であった数万年前から大きく変化していない。それでも生き長らえてきたのは、脳をソフトウェアとしてアップデートしてきたからだという。人類は、進化の過程で「運動」「睡眠」「瞑想」「対話」「読書」「デジタル」という6つのブレインモードを確立してきた。人間特有といえるこれらのモードを理解し、鍛えていけば、人工知能との共存を果たせる。これが本書の核となるメッセージである。

著者は自らの経験や古今東西の偉人のエピソード、多種多様な研究結果を交えながら、6つのモードを鍛える「ブレイン・ワークアウト」をわかりやすく解説してくれる。アスリートが身体を鍛えることで高いパフォーマンスを出せるように、私たちも脳を鍛えることで「より善く」生きられるというのだ。著者の解説は知的好奇心を大いにかきたててくれるうえに、人間ならではの知性(HI)を鍛えるトレーニングメニューは実践的なものばかりだ。

あくまで現段階のAIは、答えがある問いに対して正しい答えを導く能力、つまり「知能」の領域で飛躍的に向上している。一方、答えがない問いを探究する能力、つまり「知性」は人間のみが有する領域だ。この知性こそ磨いていく必要があると、要約者は勇気づけられた。

ブレインアスリートとしての一歩を踏み出せば、AIと共存しながら、人間ならではの思考や創造を楽しみ、より良い未来を目指せるはずだ。

著者

安川新一郎(やすかわ しんいちろう)
東京大学未来ビジョン研究センター特任研究員、グレートジャーニー合同会社代表。
1991年、一橋大学経済学部を卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社、東京支社・シカゴ支社に勤務。99年、ソフトバンク株式会社に社長室長として入社、執行役員本部長等を歴任。2016年、社会課題を解決するコレクティブインパクト投資と未来社会実現の為の企業支援に向けグレートジャーニー合同会社を創業。これまで東京都顧問、大阪府・市特別参与、内閣官房政府CIO補佐官、公益財団法人Well-being for Planet Earth共同創業者兼特別参与等での取り組みを通して、行政の現場や公益財団活動からの社会変革も模索している。

本書の要点

  • 要点
    1
    AIが飛躍的に向上させているのは「知能」であって、「知性」は人間だけが持っているものだ。
  • 要点
    2
    人間は、AIと共存し、人間ならではの知的生産を行うために、6つのブレインモードを鍛えるべきである。それは「運動」「睡眠」「瞑想」「対話」「読書」「デジタル」である。
  • 要点
    3
    生成AIの活用によって、人間はゆとりが生まれ、身体知の世界に回帰できる。

要約

6つのブレインモード

知能と知性の違い

本格的なAI時代が到来した。AIとは、「Artificial Intelligence」の略語である。「Intelligence」の語源は、ラテン語の「inter(~の間)」と「lego(何かを集める)」が組み合わさったものだ。日本語では「知能」や「知性」と訳される。著者は、この2つの違いを理解することが脳の働きを知るうえで重要だとしている。

知能とは、「明白な答えがある問いに対して、素早く適切な答えを導く能力」である。たとえばAIの活用領域としては、音声認識や自動翻訳などが該当する。演算速度の向上や大規模言語モデルの登場によって、人間の能力を上回る人工知能が実現する期待も高まっている。一方、知性は「明確な答えがない問いに対して、その答えを探究する能力」を指す。こちらは現段階で人間だけが持つ領域といえる。人間は、AI時代に起きることを直感的に予測し、知能よりも知性を磨くことのほうに意識を向かわせている。

進化とともに獲得した6つのモード
maruco/gettyimages

人間はもともと、他の動物と同じ暮らしをしてきた。その後、情報の質や量が膨大になるにつれ、言語能力の獲得や文字の発明・普及、印刷技術やデジタル技術の発達により、情報の伝達や生成を増やしていった。こうした流れの中で、あふれる情報を正しく活用するために、脳の新たなモードを開発し、アップグレードを続けてきた。

著者はこれまで人間が開発し習得してきたモードを、それぞれ「運動」「睡眠」「瞑想」「対話」「読書」「デジタル」の6つに分けている。6つのモードを理解し、正しく鍛えることによって、人間はより善く生きることができる。

「運動」「睡眠」「瞑想」、3つのモードを理解する

脳の基本能力を鍛える「運動モード」

脳の基本的な能力を鍛えるのが「運動モード」だ。

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要約公開日 2023.08.20
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