ある団体が若者にアンケートを取ったところ、多くの若者が「将来のために今を犠牲にするのはバカげている」と考えていることがわかった。この結果について、「現代の若者は刹那的になっている」と指摘し、問題視する声があるそうだ。
著者が設立したNGO「ナマケモノ倶楽部」の世話人の一人で、“スロー・ビジネス”を実践する中村隆市氏は「将来のために今を犠牲にするのはバカげている」という感性の方こそがまともだと言う。中村氏の言う通り、若者たちの考えは必ずしも「今さえよければそれでいい」という刹那主義ではないはずだ。
中村氏によると現代社会は「準備社会」であり、人々はいつも将来に向けた準備に夢中だ。胎児は生まれた後のために胎教を受け、幼児はいい幼稚園に行くために準備をし、幼稚園児はいい学校にいくために準備をして……これがずっと続き、社会人になると自分たちのいい老後と、子どもたちのいい教育を確保するためにいい職場を探す。
この流れは、現代社会が「保険社会」であることと深く関係しているだろう。年金や積み立て貯金、傷害保険、火災保険……我々はありとあらゆる災難を想定し、「今」を切り詰めてでも「将来」に備えようとしている。メディアで「先行き不透明」という表現が頻繁に使われているのも、それと関係しているのかもしれない。しかし本当に不透明なのは先行きではなく足元ではないだろうか。
現代日本では、エリート大学の若者たちがこぞって金融業や保険業に就こうとする。だが、その一方で「保険や年金や貯金なんてバカバカしい」という若者も増えている。その背景には、評論家の言うように、将来への投資に興味を持たなくなったということもあるだろう。だがそれと同時に「今を取り戻したい」「充実した今を生きたい」という思いが切実なものになりつつあるのではないかという気がするのだ。
「未来食」を提唱する大谷ゆみこ氏は「食習慣汚染」の危険性を指摘する。具体的には、我々の食生活には7つの変化が起こっているという。
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