あなたの「言語化」で部下が自ら動き出す

「紙1枚!」マネジメント

未読
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あなたの「言語化」で部下が自ら動き出す
「紙1枚!」マネジメント
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「紙1枚!」マネジメント
出版社
朝日新聞出版

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出版日
2023年05月30日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

マネジメントにまつわる悩みは尽きない。会社組織に所属する多くの人は、仮に現場のプレイヤーからスタートしたとしても、いずれマネジメントに踏み込まざるを得なくなっていく。部下をどのように育て導いていくか――このことがマネジャーにとって解決の難しい重大事であることは、数多くのマネジメントにまつわるビジネス書が出ていることからも明らかだろう。

本書は「紙1枚」というフレームワークで、マネジメントの悩みを解決しようと提案する。ふつう「紙1枚」という言葉は、「たったの紙1枚」というような、軽薄で取るに足らないイメージと共に使われるものだ。本書はその限られた面積を活用することで、さまざまな物事を言語化し、理解とコミュニケーションを円滑にしていこうとする。

よくよく考えてみれば、言語というのは限られたピースを用いて認識を整理し、さらにそれを他者に伝えることができる優れたツールである。複雑極まりない現実におけるさまざまな問題を、理解可能でシンプルな状態にすることで、制御したり解決したりできるようになることこそが、言語化の本質といって過言ではないだろう。その意味では「紙1枚」はまさに言語化にぴったりのフレームワークといえるかもしれない。

ライター画像
池田明季哉

著者

浅田すぐる(あさだ すぐる)
「1枚」ワークス株式会社代表取締役。「1枚」アカデミアプリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。作家・社会人教育のプロフェッショナル。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車(株)入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、(株)グロービスへの転職を経て、2012年に独立。現在は社会人教育のフィールドで、企業研修・講演・スクール運営等、様々な形態でビジネスパーソンの学習を支援。
研修・講演・独自開講のスクール等、累計受講者数は1万名以上。大企業・中小企業問わず、登壇実績多数。2017年には海外(中国・広州)登壇。2018年にはルーツであるトヨタ自動車(株)にて、パナソニック合同の管理職研修への登壇も実現。
2015年からは、作家としてのキャリアもスタート。デビュー作『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(サンマーク出版)は年間ビジネス書ランキング4位(全国出版協会の統計に基づく)、海外5カ国翻訳のベストセラー・ロングセラーに。これまでに9冊、文庫化を含めると11冊を上梓し、著者累計は53万部超。独立当初から配信し続けているメールマガジンは通算1000号以上。読者数2万人超。

本書の要点

  • 要点
    1
    「紙1枚!」マネジメントとは、1枚の紙を4×4マスに分割し、そこにさまざまな物事を書き出しながら整理していくことで、言語化を促す仕組みである。
  • 要点
    2
    「紙1枚」を通じて目的を言語化しジブンゴト化することが、部下の主体性を引き出す。
  • 要点
    3
    上司にとって重要なのは、部下を理解しようとする「他者洞察力」である。「紙1枚」によるタイプ分類が、洞察を深める。
  • 要点
    4
    「紙1枚」を部下と共有しながら活用することで、部下とのあいだに共通言語を作ることができる。

要約

マネジャーが抱える3つの悩み

「紙1枚」の言語化が悩みに効く
takasuu/gettyimages

著者は本書を執筆するにあたり、現在進行系でマネジャー業務に奮闘しているビジネスパーソンを集め、抱えている悩みを直接シェアしてもらうワークショップを開催したという。そこで50件以上の悩みを分析した結果、大きく3つの悩みに分類できることがわかった。

1つめは、「どうすれば部下が、主体的に、能動的に、当事者意識を発揮して働けるか」という悩みである。受け身や指示待ちが常態化してしまう要因として、会社側の問題や部下の姿勢もないとは言えない。しかし本書はあくまでマネジャーの思考や心構え、立ち振舞いを変えていくことで問題を解決していく。

2つめは、「部下との人間関係構築やコミュニケーション」に関する悩みだ。かつて新卒一括採用・年功序列・終身雇用が一般的だった時代は、社員の同質性が高く、コミュニケーションに悩むことは今より少なかった。しかし定年延長や再雇用が一般化しただけでなく、ワークライフバランスへの配慮がかつてなく問われるようになった今、ビジネス環境は多様化している。このような職場環境では、相手がなにを感じ、考えているかについて「洞察する力」が不可欠となる。

3つめは、「人材育成」だ。これは前2つの悩みに比べると、時代や環境を問わないテーマといえる。しかし「テレワークで部下の働きが見えにくくなった」「叱るとパワハラだと言われてしまう」といった現代的な課題も内包している。

なぜ「紙1枚」はマネジャーの悩みに効くのか

「支配」から「支援」のマネジメントへ

前述した悩みを解決するためには、まずマネジメント観を変えなくてはならない。具体的には、3つのマインドセットが重要になる。

1つめは、「部下は変えられない」という前提だ。部下が思うように変わっていかない原因は、むしろ「人は変えられる」という前提で接している点にある。人間は現状を維持するようにできている。それを無視して部下を無理やり変えようと働きかければ、それは「支配のマネジメント」になってしまう。しかし、他人は変えられなくとも、自分自身を変えることはできる。部下が自ら変わり、成長していくきっかけを作り出す「支援のマネジメント」を、マネジャーは行っていかなくてはならないのだ。

2つめは、「部下は集団になると〈2・6・2〉にわかれる」というマネジメント観だ。これは「働きアリの法則」とも呼ばれる。これはどのような人材を集めても、上位2割はリーダー的存在に、中位6割はリーダーに引っ張られるフォロワー的存在に、下位2割はそれに依存するフリーライダー的存在になる、という法則だ。上位2割はほとんどリソースを割かなくても成長し、下位2割を無理になんとかするのは現実的ではない。マネジャーからの効果的な支援にもっとも影響を受ける中位6割に力を傾けるようにしたい。

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要約公開日 2023.09.20
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