あなたの周りに、この人にはなぜか心を開いて話してしまうという相手はいないだろうか。そういう人は、「質問」をうまく使っている。話したことについて心地いいタイミングで質問してくれる人が相手だと、思わず会話がはずんでしまう。
質問されると、それに答えるために自分が話す機会が増える。これが、人に快楽を与えるのだ。ハーバード大学のジェイソン・ミッチェル博士は2012年、自分のことを話すとき、快楽ホルモンと言われるドーパミンを分泌するシステムが活性化することがわかったと発表している。つまり、人間は自分の話を聞いてほしくて仕方ない生き物なのだ。
これを踏まえれば、会話をはじめるきっかけは、「質問する」ことが最適だ。初対面ならば「こんにちは」+「会社はお近くなんですか?」、職場なら、「おはよう」+「最近、忙しそうだね?」、お客様を訪問したときには「本日もよろしくお願いします」+「新商品を次々に発売されていますね?」と、いつものあいさつに1つ質問を付け加える。たった1つの質問が、良質なコミュニケーションを生むきっかけとなるだろう。
仲のいい人とご飯を食べにいったり飲みにいったりすると、楽しい時間を過ごしたことは覚えていても、他愛のない話の内容までは覚えていないものだ。これは、雑談は話す「内容」より、楽しかったという「感情」が優先されるからだ。
会話が続かずに困っている人は、話題を「見つける」ことに必死になりすぎている。雑談で話題を見つける必要はない。目の前のものに「触れる」だけで十分だ。
例えば、カフェで打ち合わせをするなら、「スペースが広めで結構いいですよね」「〇〇さん、冬でもアイスコーヒーなんですね」と、目の前にある情報に触れるだけで会話がはじまる。何を話そうなどと悩む必要はない。あなたの目の前はすでに話題の宝庫なのだ。
相手から話を引き出すのが天才的に上手い人がいるが、ものすごい必殺技を使っているわけではない。使われているのは自然な「接続ワード」だ。
さりげなく話を進めるためには「それで」「それから」、具体化して話を進めるためには「ということは」「具体的には」、展開を作って話を進めるためには「ちなみに」「なんで」というワードで、相手が話しやすいように会話を進展させていく。
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