コピーライターじゃなくても知っておきたい

心をつかむ超言葉術

未読
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出版社
ダイヤモンド社

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出版日
2020年03月04日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

私たちは、さまざまなシーンで「言葉で伝える」ことを要求される。しかし、思ったように相手に伝わらなかったり、いい言葉が浮かばなかったりするのは、よくあることではないだろうか。

本書は、「心をつかむ言葉」をつくる極意が詰まった一冊だ。著者は、電通のコピーライターとして活躍する阿部広太郎さん。「相手に伝わる」ために必要な言葉の引き出しの増やし方や選び方、言葉をブラッシュアップする方法など、言葉のプロならではの技を紹介している。

また、後半に登場する「企画書のつくり方」も必読だ。著者は企画書を「誰かを巻き込むためのラブレター」と位置づけている。「企画」というと、企画部などに属する一部の人たちだけが関わるものであり、「自分は関係ない」と思う人もいるかもしれない。しかし、もしあなたが「もっとおもしろい仕事をしたい」「会社の外で、わくわくする活動をしたい」と思っているなら、企画書はそれを実現する最高のツールである。まっすぐな思いは人の心を動かす。たとえその時点で相手と面識がなくても、一通の企画書を送ることで人生が変わることも起こりうる。実際、著者はそうして多くの縁を引き寄せて、「自分の仕事」をつかんできた。その詳細は、要約で確認してほしい。

本書を読むと、「相手に伝わる言葉」とは、「相手に対する誠意」であると気づかされる。「自分の熱意を伝えたい」「心を動かす企画書を書きたい」と思う人に、本書は格好の一冊である。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

阿部広太郎(あべ こうたろう)
1986年3月7日生まれ。埼玉県出身。中学3年生からアメリカンフットボールをはじめ、高校・大学と計8年間続ける。慶應義塾大学経済学部卒業後の2008年、電通入社。人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。「今でしょ!」が話題になった東進ハイスクールのCM「生徒への檄文」篇の制作に携わる。その他にも、尾崎世界観率いるクリープハイプがフリーマガジン「R25」とコラボしてつくったテーマソング「二十九、三十」の企画。松居大悟監督による映画「アイスと雨音」、「君が君で君だ」のプロデュース。ソーシャルエンターテインメントの「ダイアログ」シリーズのクリエーティブディレクション。作詞家として「向井太一」や「さくらしめじ」に詞を提供。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、映画、テレビ、音楽、イベントなど、エンタメ領域からソーシャル領域まで越境しながら取り組んでいる。2015年より、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を主宰。著書に『待っていても、はじまらない。─潔く前に進め』(弘文堂)、『あの日、選ばれなかった君へ――新しい自分に生まれ変わるための7枚のメモ』(ダイヤモンド社)。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分を相手に伝えるには、「自分をこう思ってもらいたい」と企てて、覚えてもらう必要がある。
  • 要点
    2
    コピーとは言葉を「企画」することであり、企画とは「幸福に向かう意志」、すなわち「→(矢印)」だ。今の自分の現在地を知り、向かうべき幸福を企み、実現させる。矢印の使い手になれれば、人生は好転していくだろう。
  • 要点
    3
    感動には絶大なエネルギーがある。受け手を感動させたかったら、まず自分が感動しなければならない。
  • 要点
    4
    企画書はラブレターだ。熱意を込めた企画書を書き、おもしろい人たちに会いに行くことで、「自分の仕事」をつくることができる。

要約

「伝える」と「伝わる」

相手に思い出してもらうこと

「知らない人に向けて、自己紹介を1枚で書いてください」という課題を出されたら、あなたはどのような内容を書くだろうか。

自分を「伝える」ことは難しい。自分は「伝えた」つもりでも、「伝わる」とは限らないからだ。知らない相手に自分を伝えるためには、相手の心をつかむことが不可欠だ。そして「自分をこう思ってもらいたい」という企てを持たなければならない。

そもそも「伝わる」とは何だろう?「伝わる」を理解するには、まずその言葉を自分なりに定義する必要がある。著者が考える「伝わる」とは、その人が頭の中で「思い出せる」ことである。自己紹介をした日の帰りに「あの人は◯◯だったなあ」と思い出したり、困りごとがある時に「あの人ならきっと知ってるはずだ」と頭に浮んだりする人だ。相手に自分を思い出してもらうには、まず「自分の何を覚えてもらいたいか」をクリアにする必要がある。

多くの人は自己紹介をまとめる際、「あれもこれも」と盛りこみ過ぎる傾向がある。しかし、これでは伝わらない。自分の特徴を洗い出し、足し算を重ねた末に、思い切って引き算をする。「これでいく!」と覚悟を決めて選ぶことが大切だ。

「短く強い言葉」が最強
Wavebreakmedia/gettyimages

情報の伝え方によって、印象に残るかどうかは大きく変わる。そのために有効なのは「Less is more」という考え方だ。「Less is more」とは「少ない方が豊かである」という意味で、20世紀近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエが提唱した概念である。

言葉でも同じことが言える。その証拠に、簡単に覚えられて多くの人に広まる言葉は、いずれも短い。たとえば、2019年の新語・流行語大賞に選出されたのは「ONE TEAM」「計画連休」「タピる」などのワンフレーズであり、もっとも長いものでも「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」であった。

広告業界には「ワンキャッチ、ワンビジュアル」という基本の作法がある。広告の中身も大切だが、まずは見た人が受け取りやすいように、一つのビジュアルに対して一つのコピーにするのである。

少ない言葉の方が、結果的には相手に多くが伝わっていく。短く強くシンプルに。言葉における「Less is more」を意識しよう。

【必読ポイント!】企画とは「矢印」である

意志を持って幸福に向かう

作家の開高健さんは、世界で最も偉大な発明をしたのは「ライオンという言葉を発明した人」だと言っている。ものすごい牙を持った、恐ろしい混沌の塊。その存在に「ライオン」という言葉を当てはめることで、「恐ろしい混沌の塊」は「ただの四つ足の獣」に変わった。「ライオン」を見つけたら闘うなり、逃げるなりする。名前をつけることで頭の中に概念が生まれ、行動指標ができる。人間はこうして、「ライオン」の恐怖を克服したのだ。

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要約公開日 2023.11.15
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