社長は変革を叫ぶも、中間管理職以下は沈黙。会議で白熱しているふたりの論点がかみ合っていない。プロジェクトリーダーとメンバーとで温度差がある……。こうしたコミュニケーションのズレの中でも、とりわけ目立つのが「一方通行」だ。一方通行が起こると、仕事の手戻りが増えるだけでなく、相手との関係性にもネガティブな影響がある。
一方通行に起因するズレは大きく分けて3つある。
1つ目は目的のズレ、つまり仕事やコミュニケーションの目的に対する認識のズレだ。たとえば「社内会議のための資料を作って」と言われて対応したのに、マネージャーから「社内用語が多すぎて、これではお客さんに見せられない」とダメ出しされるケースだ。
2つ目は期待役割のズレ、つまりお互いに期待する役割のズレだ。マネージャーから「この仕事、ちょっと手伝って」と言われたので手を貸したら、後日「またこの仕事頼むよ。え、やり方覚えていないの? これはあなたの仕事なんだから、困るよ」と叱られるようなケースである。「私に引き継ぐつもりだったのなら、最初にそう言ってよ」と思ってしまうだろう。
3つ目は、成果の出し方のイメージや熱量のズレだ。売上目標を達成したのに、「1人だけでやってしまうのではなく、後輩を育てながら成果を出してほしかった」と言われるようなケースだ。ここがズレていると、成果を出しても評価されにくくなる。
人それぞれ見ている景色が違うのだから、ズレはどうしても発生するものだ。ならば、ズレを防ごうとするのではなく、ズレを放置し続けないようにしたほうがずっと生産的である。ここでは、ズレを早期に発見し、軌道修正するための具体的な行動を7つ挙げる。
1つ目は、ズレに気づいたらすぐ指摘することだ。ズレを指摘しやすい組織カルチャーを創っていく行動も不可欠である。
2つ目は、相手と景色を合わせる工夫をすることだ。仕事を任せたり任されたりする時は、目的・インプット・成果物・関係者・効率の5つの要素を書き出しながら話し合うといい。
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