思考の質を高める 構造を読み解く力

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思考の質を高める 構造を読み解く力
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン

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出版日
2023年03月25日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

これからの時代、組織を越え、さまざまな立場の人が協同するプロジェクトが増えることはほぼ確実だろう。そんな時代にあっては、気心の知れたメンバーだけで成り立つ「あうんの呼吸」のコミュニケーションは通用しない。「思考を整理して相手にわかりやすく伝える力」と「相手の言いたいことを的確に理解する力」、そして「相手の事情や心情を想像して立ち回る力」がますます必要性を増すはずだ。こうした力のことを本書では「構造を読み解く力」と言う。

「構造を読み解く力」を身につけるには、どのようなトレーニングが有効なのだろうか。そのヒントは小学生・中学生・高校生のときに受けた国語の授業にある。

わたしたちは国語の授業で、論説文や説明文、物語文をじっくり読み解いた。その文章が最も伝えたいメッセージを的確に表した一文を選んだり、文章をいくつかの段落に分けたり、登場人物の心情を想像したり……このような授業のねらいを一言で言うと「構造を読み解く力」を磨くことだったのである。

コンサルタント出身で、グロービス経営大学院でクリティカルシンキングなどの授業を担当する著者によると、「構造を読み解く力」が身につくと、思考力が養われ、インプットとアウトプットのレベルが上がるだけでなく、会議や交渉ごともうまくいく。つまり「構造を読み解く力」はビジネスパーソンの必須スキルなのである。ビジネスパーソンとしてレベルアップしたい方は、ぜひ本書を手に取ってほしい。

ライター画像
ヨコヤマノボル

著者

河村有希絵(かわむら ゆきえ)
慶應義塾女子高等学校、東京大学法学部卒業後、ボストン コンサルティング グループに入社。ノースウェスタン大学ケロッグスクールオブマネジメントにてMBA取得。長期に渡り、様々な企業のコンサルティングに携わる。
その後、コギト・エデュケーション・アンド・マネジメントを創業し、「構造学習」をベースにした言語教育を研究、展開しながら、グロービス経営大学院においてもクリティカルシンキング、マーケティング科目を担当。2021年、東京大学教育学部教育実践・政策学コースに学士入学。2023年卒業。

本書の要点

  • 要点
    1
    論理は言語を超える究極の「共通言語」だ。「構造を読み解く力」を身につける過程で、思考の質が高まり、仕事やコミュニケーションがより円滑なものになる。
  • 要点
    2
    論説文や説明文を読む際には、その文章を構成する文がそれぞれどんな役割を果たしているかを分解すれば、文章全体をより深く理解できる。
  • 要点
    3
    物語文をじっくり味わう訓練によって、他者の心情やその場の空気を読み取る力が養える。こうした力は会議や交渉においても役立つものだ。

要約

「構造を読み解く力」とは何か

VUCAの時代を生き抜くスキル

現代はVUCAの時代だと言われている。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったものだ。要するに、世の中はわかりにくくなっているということである。

わかりにくい世の中を生き抜いていくためには、わかることを増やしていくしかない。その手法のひとつがロジック(論理)だ。VUCAの時代においては、「ロジックを使ってどう思考し、伝え合うか」の重要性が増していると言える。

本書のテーマである「構造を読み解く力」はロジックを読み取る力だ。他者と協力して動き、意思決定して物事を進めていく場面で、論理は言語を超えた「共通言語」となる。「構造を読み解く力」を身につければ、思考の質が高まり、仕事やコミュニケーションがより円滑なものになるだろう。

【必読ポイント!】 論理を読み解く

論理を“読む”力を身につけるメリット
pixdeluxe/gettyimages

著者は英語が苦手だが、それでも外資系企業で仕事をこなすことができた。その理由は、推論が働いたからだ。英語を完璧に理解できなくても、AとくればB、Cの次はDで、EとFは対立、といったロジックがあれば、わからない言葉があっても先の展開が予想できる。論理を“読む”力があれば、言語や国籍が違っても世界で戦えるのだ。

論理を“読む”とはどういうことか。まず思い浮かべるのは、文章を読み解く作業だろう。要するに、ある文章を読んで、それがどういう根拠で何を主張しているのかを理解する作業だ。

コミュニケーションにおいては、この「相手がどういう根拠で何を言っているか」を理解することが欠かせない。

文章の構造を把握する
ディスカヴァー・トゥエンティワン提供

図示したりチャート化したりすると、文章の構造が見えてくる。一例として、次の文章を見てみよう。

(1)鳥のからだは、空をとぶのにつごうよくできています。

(2)からだの中には、空気のふくろがあります。

(3)鳥がいきをすうと、そのふくろは、空気でふくらみます。

(4)このふくろのおかげで、からだがかるくなって、とびやすいのです。

(5)鳥のほねは、中がからになっているのです。

(6)竹のようになっています。

(7)これもからだをかるくし、とびやすくなっているわけです。

書き手がこの文章を通じて伝えたいのは「鳥のからだは空をとびやすくできている」ということだ。要するに(1)の文が文章全体の主旨ということになる。

次に、この文章の構造を見てみよう。(1)の文は文章全体の言いたいことを表しているので、最も値打ちの高い文、一番重い文と言えるだろう。

そして、この(2)と(5)の文を組み合わせれば、(1)と同じ重さをつくることができる。(2)からだの中に空気のふくろがある、(5)ほねは中がからになっている、と言うことによって、(1)の内容を説明できるからだ。(3)と(4)は(2)の文を、(6)と(7)は(5)の文をさらに説明する文となっている。

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要約公開日 2023.11.26
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