ドイツの女性はヒールを履かない

無理しない、ストレスから自由になる生き方
未読
ドイツの女性はヒールを履かない
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ドイツの女性はヒールを履かない
出版社
自由国民社

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出版日
2023年07月20日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

ドイツ人女性は「今日はすっぴんなんです」と申告したりしないそうだ。それは、化粧が社会人の女性としてのマナーという価値観がなく、仕事でもプライベートでもすっぴんの女性が多いからである。周囲に何かと気を使い、仕事も家事も育児も頑張ったうえ、毎日の化粧の時間まで捻出している日本人女性は、著者の指摘するように「がんばりすぎ」なのかもしれない。

著者は、父親がドイツ人、母親が日本人で、23歳までをドイツで過ごし、その後の25年を日本で過ごす。現在は東京に住んで「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。日独ハーフであり、どちらの国でも20年以上の長い年月を実際に暮らしてきた著者だからこそ、両者の違いを明確に分析することができる。

毎日がんばりすぎている日本人へ、「ほどほどに、がんばる」ドイツ流の生き方を伝えるのが本書だ。題名の「ドイツの女性はヒールを履かない」――これに表れているのが、ドイツ人女性がぺったんこ靴を選ぶのは自分自身が「心地よく過ごすため」ということである。人は人、自分は自分、そして自分の親は自分の親。徹底した個人主義のドイツの考え方を参考に、無理に周りに合わせたり固定観念に縛られたりせず自分本位に生きるヒントが紹介されている。文化の違いこそあるが、日本において実践できる内容も多く含まれている。仕事にプライベートに、がんばりすぎて疲弊している人々に勧めたい一冊だ。

ライター画像
鈴木えり

著者

サンドラ・ヘフェリン (Sandra Haefelin)
エッセイスト。ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住25年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。著書に『体育会系 日本を蝕む病』(光文社新書)、『なぜ外国人女性は前髪を作らないのか』(中央公論新社)、『ほんとうの多様性についての話をしよう』(旬報社)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    ドイツ人との交流は、日本人との交流に比べて、お金がかからない。
  • 要点
    2
    結婚や出産は自分の問題だ。自分の行動を制限しようとする呪縛に対しては、きっぱり「ノー」を心の中に持つことが大事である。
  • 要点
    3
    ドイツ人は、散歩をすることによって新鮮な空気を体内にたくさん取り込み、自分も元気になる。
  • 要点
    4
    ドイツ人は「機能性」を重視して靴を選ぶ。「自由に颯爽と」歩くことができるので、ドイツではヒールのない靴を履く女性が多い。
  • 要点
    5
    早い段階で進路を決めさせられる才能社会のドイツでは、仕事や自分の可能性ではなく、「休暇」と「恋」を夢見ている。

要約

お金をかけない

洋服交換会

ドイツ人との交流は、日本人との交流に比べて、お金がかからない。

例えば、夜に友達と外で会うことになったとき、日本人だったら食事を共にしながらいろいろ話すのが普通だ。しかし、最近のドイツでは、各自の食事の好みやスタイルが異なるために、食事は各自済ませてから、カフェやバーなどで会い、飲み物だけを注文して、お店の雰囲気を楽しむことが多いという。

自宅にお客様を招待するときは、日本だと手の込んだ食事を用意しなければならないと思いがちだが、ドイツの場合は、カルテス・エッセン(パンやチーズ、ハムなど、温めずに常温でいただけるもの)があれば十分だ。

著者が東京に住むドイツ人女性数名で集まった際に行ったのが、「洋服交換会(Kleidertausch)」だ。その名の通り、自分が着なくなった洋服を持っていき、友達が着なくなった洋服をもらっていく。厳密な交換ではなく、多くもらっても少なくもらってもよい。各自が持ちよったものを試着しながら「これ入らなくなっちゃったのよね」「それ似合ってる!」とおしゃべりが弾む楽しい時間になった。自宅のモノを整理し、友達との交流も楽しめ、自分に合う服もゲットできるうえに、お金がかからない。一石四鳥の「社交」は、合理的なドイツらしさが溢れたイベントだ。

夜8時が区切りの時間
Galina Kondratenko/gettyimages

ドイツ人は日本人より睡眠に対してシンプルだ。日本ではいろいろな睡眠グッズが販売されていて睡眠にお金をかけている。一方、ドイツで良質な睡眠のために必要とされるのは、「新鮮な空気」だ。寝室の窓を全開にして新鮮な空気を取り入れ、新鮮な空気を吸いながら横になる。ドイツでは人工的なものに頼るというより、昔ながらの方法でうまくやろう!というスタンスの人が多いのだ。

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要約公開日 2023.12.30
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