アジアの面積は世界のおよそ4分の1を占め、アフリカよりも広い。また、人口は世界の6割にのぼり、2位であるアフリカの約3倍にもなる。経済規模(2020年の国民総所得)を見ても、中国、日本、インド、韓国というアジアの4カ国がトップ10に入っている。
以下、本要約では経済発展著しいBRICSに属する中国とインド、そして2023年現在、戦争状態にあるイスラエル共和国を取り上げたい。
世界2位のGDPを誇るのが中国だ。20年間で約16倍の経済成長を遂げた国だが、その大きな要因は国土にある。中国の国土面積は世界4位だ。その多くは冷帯から温帯気候にあるため農業生産に適し、石炭や原油、レアメタルなど地下資源も多い。人口はインドに次いで世界2位であり、世界の5分の1が中国人という計算である。このように、自然資源と人的資源の両方に恵まれているのだから、世界有数の経済大国になったのは自然といえる。
中国最大の都市である上海は、長江の河口に位置する。それゆえ、中国内陸地域と海外を結ぶ有利な地域として、急速に成長した。長江は中国を東西に横断し、東シナ海へとつながる全長6380㎞の大河川だ。その流域は、上海だけでなく、重慶や南京など主要な商工業都市が栄え、稲作を核とした生産力の高い農業地帯でもある。また、多くの文化財を水没の危機にさらしたものの、その治水効果で評価される世界最大のサンシャダムがあるのも長江沿いで、上海などの発展を支えている。
2023年6月に人口が世界一となったインドだが、国土の6割は農地で、その多くは機械化が進まず、労働力を見込んで多産となる。貧富の差はなお大きい。国土は日本の約9倍になるものの、雨が降らないと耕せない農地が多く、生産性も高くない。一方で、石炭やボーキサイトなどの鉱産資源は豊富で、それらを使った鉄鋼業は盛んだ。近年IT産業も発展著しいが、アメリカとは時差で昼夜が反対であり稼働が保てる点、英語が準公用語であることがその理由として挙げられる。
巨大な人口を抱えるインドにはカースト制度が存在し、それによって自らの職業集団が規定される。ただし、一般的に知られているバラモン(司祭)、クシャトリヤ(王侯、武士)、ヴァイシャ(農牧商)、シュードラ(隷属民)の4区分は、カーストの中でも身分・階級を示す「ヴァルナ」のほうであり、家柄や職業を表す現実社会の集団「ジャーティ」とは別であることに注意したい。
カースト(ジャーティ)を細分化したサブカーストの数は2000以上にのぼる。カースト(ジャーティ)の序列は、バラモンと不可触民(アウトカースト)を除いて固定ではなく、地域や行いによって変動する。
なお、ITのような新しい産業はカースト(ジャーティ)に対応していないから、下層カーストの人も職を得ることができたとされる。しかし現実的には、高等教育を受けられるのは裕福な上層カーストの人であり、IT関連であっても下層カーストの人が高いポストにつくのは難しいようだ。
国際社会ではほとんど認められていないにもかかわらず、イスラエルはエルサレムが首都だと主張している。それはユダヤ人にとって歴史的に意義のある都市だからだ。紀元前2世紀頃にはエルサレムがユダヤ教徒の巡礼地となったが、ローマ帝国に抵抗したユダヤ人たちは世界中に離散してしまった。だからこそ、この地での祖国復興は悲願だった。
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