アイデアの着眼点

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出版社
フォレスト出版

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出版日
2024年04月23日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

世の中にはアイデアに関する多くの書籍が出ているが、本書は「哲学」を使ってビジネスのアイデアを生み出そうという、実にユニークな一冊だ。哲学というと、プラトンやアリストテレス、カントなど、学生時代に習った哲学者たちの名前が脳裏に浮かぶ。何百年も、いや何千年も前の偉人たちの思想が、どうして現代のビジネスと結びつくのか? 要約者も本書を読むまでは、頭の中がはてなマークでいっぱいだった。

そもそも、「アイデア」とは古代ギリシア語の「イデア」に端を発しているという。「ここにはない理想」を意味するその言葉は、いつしか人間が生きるうえで必要不可欠な人間の営みとなった。私たちの身の回りのあらゆるモノやサービス、そしていまをときめく生成AIも、すべて人間のアイデアから生まれた産物だ。物事を多角的に捉えて本質を探り、新たな意味を見出す学問である「哲学」は、まさにアイデアを生み出す格好のツールなのである。

本書では古今の哲学者の思想を紐解きながら、それをビジネスのアイデアに活かす方法が説かれている。要約ではそのケースワークとして、カントの「コペルニクス的転回」を使って「納豆の新たなビジネスチャンス」を考える。さて、哲学思考で見出す「納豆のまだ見ぬ可能性」とはいかなるものか。ぜひ本文をご確認いただきたい。

「アイデア出し」に悩んだときはウェブ検索やAIに聞くのもいいが、「本当に新しくてオリジナルな発想法」は過去の叡知から学べる。「温故知新とはまさにこのこと」と、膝を打つこと請け合いだ。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

小川仁志(おがわ ひとし)
1970年、京都府生まれ。哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。商社マン(伊藤忠商事)、フリーター、公務員(名古屋市役所)を経た異色の経歴。徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員等を経て現職。大学で課題解決のための新しい教育に取り組む傍ら、全国各地で「哲学カフェ」を開催するなど、市民のための哲学を実践している。また、テレビをはじめ各種メディアにて哲学の普及にも努めている。NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」、「ロッチと子羊」では指南役を務めた。ビジネス向けの哲学研修も多く手がけている。専門は公共哲学。著書も多く、ベストセラーとなった『7日間で突然頭がよくなる本』や『ジブリアニメで哲学する』、『前向きに、あきらめる』、『60歳からの哲学』等をはじめ、これまでに100冊以上を出版している。YouTube「小川仁志の哲学チャンネル」でも発信中。
公式HP http://www.philosopher-ogawa.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    常識を超えてどこまでも意外な発想を可能にする「哲学」は、アイデアを無限大にする営みだ。AIが生成する“アイデアっぽいもの”は単なる組み合わせに過ぎない。哲学が生み出すユニークな発想は、AIには真似できないものである。
  • 要点
    2
    哲学の概念を応用することで、着眼点を磨くことができる。
  • 要点
    3
    当たり前を疑い、すべての物事に対して素直な気持ちで受け止めること。そして対象を様々な角度から捉えることが、アイデアを生み出す力につながる。

要約

【必読ポイント!】アイデアを生み出す「哲学思考」

「アイデア」とは何か?

「アイデア」とはそもそも何だろうか。アイデアの語源は古代ギリシア語の「イデア」にあるといわれている。「イデア」とは古代ギリシアの哲学者プラトンが掲げた概念で、「ここにはない理想の状態」を意味する。アイデアとは「ここにはない理想」なのである。

アイデアは人類誕生以来ずっと求められてきており、何も今に限った話ではない。人類が厳しい自然の中で生き延びるには、アイデアを生み出すことが不可欠だったからだ。たとえば、寒さをしのぐためのアイデア、猛獣から逃れるためのアイデア、獲物をとるためのアイデアなど、人類は多くのものを発明し、地球を支配しながら快適な暮らしを獲得してきた。もっといえば、コップ、箸、ノート、電気スタンド、スマホ、衣服など、私たちの身の回りにあるものすべてが「アイデア」だ。アイデアとは、人間が生きることそのものなのである。

アイデアのすごいところは、それが無限に生み出されるところにある。空を飛べたり、牙で獲物を捕らえることのできる動物も、人間のアイデアにはかなわない。無限の可能性を持つアイデアは、原子力や自律型AIも生み出してしまった。

アイデアの「すごい力」の発揮に貢献するのが、人間が持つ「考える能力」だ。とりわけ常識を超えた意外な発想を可能にする「哲学」という営みは、アイデアを無限大にするのである。

「哲学思考」3つのステップ
Yellow Man/gettyimages

たとえばここに、ただの楕円形があるとする。これに価値を持たせて売るにはどうしたらいいだろうか――。

これは、著者が企業研修などで哲学を理解してもらうために出す問いである。なんの変哲もないものに新たな意味を見出してもらうこと、それこそが哲学なのだ。

哲学の意義は「物事に新たな意味を見出す」ところにあり、常識の枠を超えて考えるとも言える。普段私たちは物事を考えるとき、基本的には常識の枠内で考えているはずだ。だが哲学ではあえて普通の枠を超えて、異なる捉え方をしてみる。それが「考える」と哲学の違いである。

常識の枠に収まらない発想を生み出す「哲学思考」は、次の3つのステップで行う。最初のステップは「疑う」ことだ。自分が考える対象についてどう思っているか、その前提を確認する。

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要約公開日 2024.07.17
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