「よい説明」には型がある。
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「よい説明」には型がある。
出版社
日本経済新聞出版

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出版日
2024年02月01日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

仕事でも日常生活でも、自分の話が相手に伝わらない居心地の悪さを感じることがあるだろう。気心が知れ、似たような価値観を持つ仲間同士であれば、多くを説明せずともスムーズにコミュニケーションが取れることもある。しかし、働き方や生き方が多様化している現代では、自分とは異なる前提や価値観を持つ人ともコミュニケーションを取る必要がある。そこで重要になるのが、言葉で説明する能力だ。

本書の著者は、駿台予備学校の講師として長年「説明すること」を仕事にしてきた。かつては著者自身も説明に苦労していたというが、人気講師たちの授業を研究したところ、よい説明には一定のパターンがあることに気がついた。自身もそれを実践したところ、担当講座は大人気に。独立した現在では、教育コンテンツ・プロデューサーとして2万人以上の経営者・ビジネスパーソンに向けた「話し方トレーニング」の提供もしている。

著者によれば、聴き手が思わず身を乗り出すような「よい説明」に必要なのは「型」である。本書で紹介される「11の型」は、著者が1000人以上の事例を分析し、大学院での言語化の研究の知見も踏まえて構築したものだ。提示された型にあてはめるだけで、わかりやすい説明が構築できる。型による説明に慣れてきたら、自分なりの「独自の型づくり」にも挑戦できる。説明上手を目指したいなら、まず押さえておきたい一冊だ。

著者

犬塚壮志(いぬつか まさし)
教育コンテンツプロデューサー/(株)士教育代表取締役
福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。東京大学大学院学際情報学府修了(学際情報学修士)。大学在学中から受験指導に従事。業界最難関といわれる駿台予備学校の採用試験に当時最年少の25歳で合格。開発したオリジナル講座は3000人超動員の人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる(映像講義除く)。年間1500時間以上の講義を行う中で幅広い説明スキルを習得。2017年、「大人の学び方改革」を目的に独立。講座開発コンサルティング・教材作成サポート・講師養成を総合プロデュースする「士教育」を経営。研修講師としての登壇実績も豊富で、交渉スキルを含む「説明力」をテーマにした研修プログラムは、大企業や官公庁を中心に人気を博している。主な著書に『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)、『頭のいい人の対人関係』(サンクチュアリ出版)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    言葉による説明は、分断された世界に「橋」を架ける力だ。「よい説明」とは、「聴き手の感情を刺激し、聴きたくなるようにワクワクさせる説明」である。
  • 要点
    2
    「よい説明」の技術である「11の型」を使えば、話を素早く組み立て、説明の成功確率を上げることができる。
  • 要点
    3
    「メリット訴求」は、説明を聴くことのメリットを相手に伝える基本の型だ。説明を受けることで聴き手にどんな得があるかを説明し、聴きたい気持ちにさせることを目的とする。

要約

「よい説明」とはそもそも何か

なぜあなたの説明は聴いてもらえないのか
Edwin Tan/gettyimages

一生懸命説明したのに、相手からの反応が芳しくないという経験は誰にでもあるはずだ。さっき説明したことについて“今さら”の質問をされたり、自分が熱く語っていることに相手が上の空だったり……。そんな状況に陥る原因は「あなたの話に聴き手が興味を持ってくれていない」からだ。その背景には「コミュニケーションの分断と断絶」がある。

「推しの世界」のようにある世界を出たとたんにまるで理解されなくなる「分断」、考え方や知識のギャップが激しいがゆえに起こる「断絶」。現代では、こうしたギャップのために、お互いの話が「わからない」「つまらない」「興味がない」状況がよく起こるようになった。こんな時代だからこそ、「言葉による説明」の重要性は増しているといえる。

言葉による説明は、分断された世界に「橋」を架ける力だ。本書の考える「よい説明」とは、「聴き手の感情を刺激し、聴きたくなるようにワクワクさせる説明」である。この「よい説明」の技術を「11の型」という形で提案する。型を使えば話を素早く組み立てることができるうえに、説明の成功確率を上げることができる。さらには、自分独自の型もつくりやすくなっていく。

「よい説明」で伝えたい内容を最短で伝えることができれば、「この人の話を聴いてみたい」と思ってもらえるようになるし、自分の提案を通してやりたいことを実現しやすくもなるだろう。「説明上手」になることで、あなたの人生の舞台はさらに広がっていくはずだ。

なぜ「よい説明」ができないのか

著者にはこんな経験がある。ある経営者の講演を聴いている間に眠くなってしまって、何も頭に入ってこなかった。ところが、スライド資料を見返してみると、内容そのものはとても面白かったのだ。

話の中身にあたる素材(ネタ)は面白いのに、その話が伝わってこなくて「つまらない」と感じてしまうことは少なくない。本当はもっと価値がある話なのに、説明がよくないせいで伝わらないのは、とてももったいないことだ。これでは聴き手は話し手やネタにマイナスイメージを持ってしまいかねないし、場合によっては大きなチャンスを逃すことになるだろう。

人前で話すことに苦手意識がある人は、話し方やジェスチャー、話す内容の素材そのものに問題があると思いがちだ。しかし、1000人以上のビジネスパーソンの話し方を分析した著者によれば、本当に問題があるのはそこではない。聴き手に「つまらない」と感じさせてしまうのは、人の頭の中にある3つの壁を越えられないからだ。

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要約公開日 2024.07.08
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